2013年3月13日水曜日

女子会ふたり。(2)

もしかして、あれが彩名だろうか…?
知華子は、ある一人の立ち姿に目をとめた。

すみれ色のスーツ。
スカートは、軽やかな膝丈のマーメイドタイプ。
肩より少し長い髪は緩く巻かれて、スーツと同じ色のシフォンで作られた花飾りでまとめられている。

色は白く、化粧は濃くなく、左手の薬指には銀に輝く指輪。
プラチナだろうか。

この会場に居合わせた同窓生でごった返す中、彼女は一番15歳の彩名の面影に近い。

声をかけようか、一瞬、知華子は迷った。

その時。

「あら、彩名さん、来てたの?!久しぶりね。元気?」
中学生の時、彩名と同じ書道部だった久美子が、彼女に話しかけていた。
「ええ、まあ、なんとかね…。久美子さんは、相変わらず元気そう…」
懐かしい声の名残りと共に、にこりと微笑む表情は、15の時を思い出させる。

やっぱり。
そうだったんだ、あの人が。

すぐにでも、知華子は話しかけたかったが、久美子からの矢継ぎ早の質問は思ったより長く、途切れる様子はしばらくない。

(つづく)