2013年10月20日日曜日

(つぶやき)寒いので。

わー、真一さんとドリちゃんの話が終わったー。
ドリちゃん、ほんとの名前は碧(みどり)なのに、もう忘れられてるよな…
若い方は18歳になったら、読みにおいで下さい~

さて、最近やたらに寒いんですが。
夏が暑すぎると、そう感じるのかしら。
そう考えてもみたのですが、体感温度だけではなくて、実際の数字の上でも低温らしく。

秋はどこへいった?
台風にすっ飛ばされちゃったのー?
私は秋が一番好きなわけではないんですが、周りにいる秋が好きな人たちは、とっても物足りなさそうです。ぐすん。

と、いうわけで。
せめてこのブログのお話では、鮮やかな錦秋か、またはあったかな春のお話をお届けしたいです。
少なくても、この次は。

あの、でもここ、基本的に女の子同士の淡いらぶらぶな「百合」ジャンルで作ったブログなので。
次回作はそっち傾向になります。
タイトルでわかるようにしておきますので、百合が苦手な人は逃げてくださいね。

あとは…年齢制限のないお話を書くように、心がけます…下手な分、せめて門は広く開けておかないとなー。

それでは、また!

(BL18禁)甘いお役目(7、ラスト)

僕は、真一さんの顔が見たくて、たまらなくなった。
別に…悪趣味のような考えじゃなくて、本当に、僕で感じてくれているのか、目で確かめたくて。
あ、その、もちろん…僕の中の、真一さんは…すごく、感じてくれてるのは…体でわかってるんだけど…。

「ねぇ、しんいちさ…っ、かお…みた…い…」
もう、切羽詰まってしまった僕は、それでも切れ切れの小声で、ねだった。
「体…ねじっても…見えない…?」
「わ、わかん…ないっ」
「俺…このまま、ドリの中で最後まで、したいから…抜きたくないよ…?」
「ひゃんっ、そ、そんなこと…恥ずかしいよ、聞いてて…」
「…ドリ。いつでも、いいよ。俺の顔、振り向いて見てごらん。余裕、できたら…」

よゆう、なんてない。
でも、僕は必死で、首を後ろに向けた。
髪が汗で額に貼り付いている、真一さんの顔が、見える。
頬をすっかり紅潮させて、息を荒く吐いている。
そして、僕の視線に気がつくと、微笑みを返して、大きく抜き差しを始めてきた。

「ん…っ!だ、だめっ、そんなにいきなり…も、ぼく…いっちゃうよ、そんな…ぁ」
「…俺も、もういきたいよ、ドリ。可愛く泣いて…?いやらしい言葉、いっぱい、言っていいから…」
「あんっ、それは、それ…は…しん…ちさん…の、ほ…、ああぁ…んっっ」

お互い、ほとんど同時に、出てしまったみたい。
「みたい」っていうのは、その…僕が、一瞬だけど…記憶、飛ばしちゃった、みたいで…。

いつの間にか、真一さんはコンドームをつけてくれていた。
ぐったり寝ころぶ僕と、二人分の後始末をしてくれている。
「ごめん…なさい。…ちから、はいらなくって、いま…」
謝りながら、僕は緊張がほぐれたのと、予想以上に真一さんとのSEXが気持ちよかったのとで、ぽろぽろ涙を落としてしまった。
「どうした、ドリ?…そんなに、まだ痛い…?」
心配そうに顔を寄せてくる真一さんに、僕はやっとの力で首を横に振ってみせる。
「じゃ、なくって…なんにも、できない…体が、動かないんだもの…」
言いながらまた泣くと、真一さんは、僕にそっと、唇に触れるだけのキスをくれた。
「いいんだよ?…だって、それだけ、俺のこと…よかったんだ?」
今度は、こっくりとうなずいて、僕は真一さんの優しい瞳を見つめる。

「ドリ、さあ、眠ってごらん…少し落ち着くから」
毛布を掛けてもらって、二人して乱したシーツの上にバスタオルを敷いてもらって、僕は真一さんと、ベッドの中で抱き合った。
「うん。…でも」
「…ん?」
「何だか…寝ちゃうの、もったいない気がする。僕…その、なんか、あの…眠ったら、もっと、できなくなっちゃう、でしょう…?」
思い切って僕が口にすると、真一さんはちょっと目を丸くして、その後、僕のおでこを指でつん、と突いてきた。
「いたっ」
「ドリ、お前、やっぱりやらしいよ。可愛い過ぎて、俺は困る…」
そう言いながら、ぎゅっと抱きしめてくれた。
あったかくて、とっても気持ちが良くて、僕は、胸が痛くなりそう。
「大丈夫だよ。まだ昼間なんだから。明日の朝まで、何度でもしよう…?」
「…うん。…うれしい」
また、ぎゅっ。

思ったままを、素直に口にすればいい。
それが、愛される僕の、甘いお役目…なのかな?
だとしたら、それはなんて恥ずかしくて、気持ちよくて、たまらないお役目なんだろ。

うっとりと真一さんの胸に頬を付けながら、僕は、静かに目を閉じた。


(おわり。めでたしめでたし! さて、次は年齢制限なしの百合を書こう~!短いの。)

2013年10月19日土曜日

(BL18禁)甘いお役目(6)

さっきまで、ぴんと張られていたシーツが、僕の手で握りしめられて、くしゃくしゃになってゆく。
机の上に飾られた真っ赤なガーベラが、ゆらりと潤んで見えるのは、きっと僕の涙のせい。

…真一さんに、されるがままになりながら、僕は、はしたなく乱れてゆくばかりだった。

男同士のやりかたがどんなものなのか、ねえちゃんに相談してから、僕なりに調べたっけ。
何だかわかるようでわからなくて、でも、女の子とする時とかなり似てるのは、わかった。
それから、どんなところが、決定的に違うのかも。

「…あ。……や、いい…っ」
「ドリ」
いやいやをしながら体中を震わせる僕を、真一さんは俯せにさせる。

ああ、この後は、あれをしちゃうのかな…。
でもそれじゃ、僕は、気持ちよくされる一方で、真一さんに何もしてあげられていない。
さっき、口でしただけ…

「背中、汗、かいてるよ」
指が、僕の背骨の上をすうっ…と撫でていく。
だめ、ぞくぞくしちゃうよっ。

「…ね、真一さん…」
「なんだい…?」

優しい声で聞き返されて、僕は、また震える。

「ぼ…くも、ただ…感じてる、だけじゃ、なくって…真一さんに、なにか…して、あげた…い」

言いながら、涙が頬をつうっと伝って落ちていくのがわかった。

「…ドリ?」
ちょっと微笑んだような声が不思議で、僕は真一さんを振り返る。
馬鹿な事言ってる、と、思ったのかな…?

はずれ。
真一さんは、ガーベラと同じくらい、真っ赤に頬を染めて僕を見ていた。

「もう、十分、してもらってるから、心配しないで」
「え…?」
「そんなに乱れて、可愛い声を上げ続けていられたら、俺の方がまいっちゃうに決まってるだろう?」

「そ、そんなに…やらしい…?」
「うん。…たまんないよ。だから、こんな事も…したくなる」
とまどう僕に、真一さんは、本で書いてあったことを、した。
今まで誰にも見せたことのない、ぼく本人も見たことのない、場所…真一さんと、きっとこの後つながる場所に、そっと、濡れた指が触る。

「ひゃっ?!」
「ごめん、冷たかった?…少し前に掌に出して、温めておいたんだけど。大丈夫、専用のローションだから、怪しげな物じゃないよ。それに…ちょっと、いたずらを仕掛けてある」
「え、ええっ?」
「これ、しばらくすると、じんじん熱くなって、痺れたみたいになってくるらしいんだ。…ドリの、もっともっと乱れていく様子を見たくて…買った。ごめん…?」

もう、その説明を聞いている間にも、僕は、真一さんに塗り込められ続けているその媚薬めいた物に翻弄され始めていた。

初めての時からそんなに感じる場所じゃない、と本で読んだ所が、熱くとろけていく。
真一さんがぼくのそこを、ゆっくりと撫でてくれるだけで、もう前の方も反応してしまった。
「や…シーツ、濡らしそ…っ」
「もう、少し…零れてる、よ」
「あぁん、ばか…っ、しんいちさんのばかっ…」

這った格好で真一さんに指で撫でられながら、僕は本気で泣き声混じりになっていく。

「じゃあ、やめる…?」
「やんっ、やだあ、しんいちさぁん…や、やめないでえ……」
「『もっとして』って、言ってごらん?」

いきそうになるのを必死でこらえながら、僕は、その優しい命令に自ら服従する。
その後の、想像しただけでどうにかなりそうな、報酬を期待して。

「ん…あぁ…、ね、しんいちさん…しんいちさぁん、もっと、もっと…して…っ?…欲しい…っっ」

熱く痺れた僕の中へ、真一さんの、同じく熱い指がゆっくりと滑り込む。
「ああ、ああんっ、な、何それ、すごいっっ…」
目の前のシーツをいくら握りしめても耐えられないほどの快感が、僕を襲う。
「…ドリ、よくできました、だね…?」
真一さんの声も、とろけそう。ちょっと…震えてる…?
ローションを時々垂らしながら、ゆっくり、真一さんの指が抜き差し寸前の動きをする。

もう、とっくに僕はいってしまった。
言葉も出なくなって、胸までシーツにぺたんと這いつくばりながら、わけのわからない声を上げる。
「ドリ…ドリ。可愛いよ、…すごく可愛い。いやらしい子だね…」
指の数は、きっと増えてると、思う。
でも、気持ちよく痺れてしまって、僕のそこは、いくらでも受け入れてしまいそうだった。
「…ね、しんいちさん…欲しい、欲しいんだ…ねぇ、……来て…?僕と、一緒に…」

その直後、僕は自分の甘えたおねだりの言葉に後悔した。
さっきまでとはまるで違うものが、僕の中に、熱く差し込まれてゆく。
ゆっくり、すごくゆっくり…真一さんが、とても気を遣ってくれているのも、感じる。
だけど……痛い、正直。
固まった体の僕に、心配そうに後ろから真一さんが声をかけてくれた。

「やっぱり…やめようか…?その、今日はまだ…初めてだし…」
「…っ、やだぁ…っ、…やめちゃ、やだ……い、痛いけど…したい、…したいよ…僕」
「ドリ?…無理してないか?」
返事の代わりに、僕はぶるぶると首を横に振る。
「…わかったよ。じゃ、…ゆっくりと息を吐いて、ちから、…抜いて…?」

言われたとおり、僕はそのままの姿勢で、ゆっくりと深呼吸をする。
僕の上に、真一さんが覆い被さるようにして、シーツを握りしめた指を一本ずつほどいてゆく。
「あ…っ」
そんな風に上へこられたら、ふ、深く、なっちゃう…っ。
真一さんは、汗まみれの手を右手で解放しながら、左手で僕の腰をしっかり掴んでいる。
「は…っ、あぁ…そ、そんなとこ…まで…ん…っ」
女の子じゃないから、僕と真一さんの抜き差しには、突き当たりのゴールがなくって、真一さんの腰骨が当たるかどうか…
また、僕は真一さんに泣かされ始めた。
今度は、かなり長いこと。
ゆっくりと、でも深くて、けっこう容赦ない感じで…ああ…っ。

今頃になって、ローションの媚薬が、かなり効いてきた感じ。
痛みじゃなくて、快感に僕の体がじんじんと熱くなる。
「はんっ、ああ…しんいちさんっ、ああっ…いい、いいよぉ…っ」
「…いいの?」
優しすぎる声が、僕の耳に染みこんでくる。
「いい、いいよ、ど…どうしよ、ああ…よすぎちゃう…!」
「…ああ、俺もすごく、きてる今、…ドリ、そんなに、締め付けないで…」
「やだあっ、ばかっ、そんな恥ずかしいの、だめ…だめぇ」
真一さんは、僕の腰を両手で押さえ込みながら、抜き差しを次第に速くしていった。

あ…も、かなり、僕…近い、かも、しれないよ…っ。

(つづく。→でも次回くらいでラストにする予定です。真一さんとドリちゃんも大変そうだし!)

2013年10月12日土曜日

(BL18禁)甘いお役目(5)

カードキーをスライドさせている、真一さんの手を見ながら、僕は考えていた。

こんな光景をみるの、どのくらい久しぶりなんだろう…

家族旅行で泊まったとき?
それとも、中学の時の修学旅行で行った、宿泊先のホテル?

こんなふうに、好きな人にドアを開けてもらう日がくるのは、もっとずっと先だと思っていた。
人生って、何が起こるか分からない。

真一さんが、ドアを押し開ける。
「ドリ。…おいで」
きっと今、僕の顔は赤く染まっている。
それを見られるのがとにかく恥ずかしくて、僕は、小走りに部屋へ入っていった。

僕の後ろで、ドアを閉める重い音が聞こえる。
カードキーをスイッチにして入れたのだろう、電気がついて、部屋が明るくなる。
そうして…ドアの鍵とストッパーを、静かに、かける音。

背後から、抱えている紙袋ごと、真一さんは僕をぎゅっと抱きしめてきた。
心臓がばくばくして跳ねて、それが全部、真一さんに分かってしまうようで、すごく困る。
でも、すごく…嬉しいし、気持ち…いい。

「ドリ…?」
急に、耳元でそっと囁かれて、僕は、ぞわぞわとする。
…これ、感じてる、んだ…。
甘い毒を注ぎ込まれて、何もかも奪われてしまいそう。
でも、それでも、いい。

「しんいち、さぁ…ん」
自分でも知らなかった、甘えた声。
「…感じてるんだ、ね?」
聞かれて素直に、ん、と頷いてしまう。

「…ね、……ベッド、大きくって…やらしい…」
小声で僕が言う。
目の前には、男二人でも十分寝られる広さのベッドと、ソファとテレビ。
ベッドサイドの小テーブルには、一輪挿しにガーベラ。

「やらしくなんてないよ。それは、ドリが…勝手に何か、考えてるから、でしょ?」
「…いじわる」
「そう、俺は意地悪だよ。ドリを可愛がりたくて。…何してほしいの?」
真一さんは、僕の口からそれを言わせたいみたいで、手をゆるめない。

「…もっと、いじわる…して…?」
自分でも目が回りそうなくらい、恥ずかしい台詞。
でも、言いたかったんだ。

「…ああ。覚悟してて…」

僕はベッドまでたどり着く前に、着ている物を全部はぎ取られた。
真一さんも何も身につけない姿になり、二人して倒れ込むようにベッドの上に横たわる。
しばらくは、抱きつきあって、唇を重ねあわせているのに、二人とも夢中だった。
真一さんの体は、すごく熱い。肌がとてもすべすべしていて、気持ちいい…。
僕は、自分から夢中で、真一さんにすがりついた。

真一さんの唇が、僕の肌を探るように、あちこちに落とされていく。
上から、下へとだんだん動いていき、僕は、不埒な想像にどうにかなりそう。

「だ、だめ……しんいちさんっ、そこ…だめぇ」
「…どうして?こんな…勃ってる」
僕の一番反応している尖端に、真一さんの唇がそっと触り、舌が柔らかくそこを舐める。
「だっ、だって、あっ…あ、す、すご……い…っ」
真一さんの唾液で濡らされ、僕のそこは、ますます反応して大きく張り詰めていく。

あ…っ、僕は今、大好きな先輩に、一番恥ずかしい所を…しゃぶられてて…すごくすごく、気持ちがいいよ…ぉ。

そんなような事をわけも分からず大声でわめきながら、僕は、真一さんの口に、初めてフェラされた快感の証を弾けさせてしまった。

どうしよう…すっごく、いい。
もう、一人じゃできないかもしれないくらいに。

「ドリ…一回出したのに、もう勃ってるぞ?…感じやすい悪い子だな…?」
「え。じゃ。……嫌い…?僕」
「正反対。エロいドリをいじめて、余計好きになった…」
「や、だ…真一さん、ひどい…僕、エロくなんてないよ…」
「じゃあ、もう一度射精してみるかい?俺の口に」
「やだ、ねえやだぁ、…僕も、真一さんに…したい…」
「ドリ。…やっぱ、お前はエロいよ、可愛くてエロい…」
「違う、ちがうよっ。…そ、その、真一さんの、あれが、僕も、ほしい…っ」
「飲んで、くれるの?…美味しくないのを」
「欲しいんだ、そうして、真一さんも、僕と同じくらい、気持ちよくなってほしいんだ…」

初めての、行為。
でも不思議に、嫌悪感はなかった。
ただ、真一さんを自分と同じくらい気持ちよくさせたい、それだけ考えた。
「あ…ドリ、上手だ…よ、…んっ、そろそ…ろ、…ああ…いいっ」
真一さんが噴き出したものは、予想より多くて、熱くて、ちょっぴり苦かった。
少しもこぼさないように、そう思って、舌や唇でぬぐいながら、舐めて、飲んだ。
ああ…また、真一さんも僕と同じに、…大きくなって、くれてる…。

僕と真一さんの時間は、昼間か夕方から、こうして始まっていったんだ、

(つづく…やたらと眠いので、間違いあったら後日お詫びしますー)

2013年10月8日火曜日

(つぶやき、ここは年齢フリー)わくわく。

馬の目の前にニンジンをぶら下げると、がんばって走るといいます。
私も、今さっき、自分の目の前にニンジン、ぶらさげて来ました。

進撃の、調査兵団のコスプレ衣装、ネット予約しちゃったーい!

果たしてこれ着て、12月の有明へ行けるか分かりませんが、それまでに今よりは少しでも体力戻して、ダイエットもして、頑張らないとねっ!

で、誰のコスプレを目指してるかというと…えへへ、眼鏡のハイテンションな、ハンジ=ゾエです。
何でかっつーと、眼鏡かけてるし、髪の長さ同じくらいだし、妙にハイな所も似てるし(笑)
しかし、私はあんなに、頭良くないけどさ。

本格的にするなら、いまよりちょっと栗毛の濃い感じに髪を染めて、度付きサングラスを買わないとですね。
そこまでやる気がでるかどうか…?

とにかく、私のいま一番のお楽しみです。
コス服は11月に来るそうなので、10月中旬からの池袋サンシャインのイベントは、行かなくてもいいかな…行くなら、緑のコート着たいもん~。

何か、毎日が急に、わくわく。

(次回はまた、18禁に戻れるといいなー)

2013年10月5日土曜日

(BL18禁)甘いお役目(4)

ぼうっとした中でも、真一さんとの約束を思い出しながら、僕は勉強して、土曜模試を受けた。
いつもより手応えがあったかどうか、それは、分からない。
ただ、思っていたよりも腐抜けた回答は書いていなかった感じ。

真一さんの教えてくれた場所は、バスの終点の駅ビルターミナルだった。
約束の時間に、東口のエスカレーター前に行く。
もう、背の高い姿が、そこに見えていて、僕はあわてて走っていった。

「ご、ごめんなさ…真一、さん…待たせ、ちゃっ…」
「そんな息を切らせて、走ってこなくても良かったんだよ、ドリ。時間ぴったりだったのは、ドリの方なんだから?」

…まだ、真一さんの口から「ドリ」と呼ばれるのに慣れなくて、僕はかあっと頬を紅くした。
そんな間抜けな僕を、真一さんは目を細め、優しく見つめてくれていた。

「…じゃ、ここのトイレで私服に着替えて、出ようか…。チェックイン、2時で予約してあるから。ダブルで」

え?

目を丸くして見上げるぼくに、真一さんは、つん、と額を指ではじく。
「こら、ドリ。どこ行くと思ってた?俺が取ったのは、普通のシティホテルだぞ」
「え、わ、んと、いやそのっ」
「その気、だったんだ?」

真一さんは、今度はいたずらっぽく瞳を輝かせて、ぼくの顔を覗き込んでくる。
「も、もう…知りませんっ、ぼく!からかわないで下さい…っ」
照れまくる僕に、真一さんはくすくすと笑いながら
「ごめんごめん。あんまり、ドリが可愛かったからね?じゃ、着替えようか…」
「あ、…はい…」

そうだよな。場所は違っても、これから真一さんとしちゃう事は、変わらないんだよな。
ドキドキしながら、僕は、着替えの入った紙袋を胸に抱くようにして、エスカレーターに乗った。

僕が先に個室へ入ると、びっくりしたことに、ドアの隙間をすごい勢いですり抜けて、真一さんが入ってきた。

「えっ?」
「…ごめん、ドリ。もう俺、我慢、できない…」
せっぱ詰まったセクシーな声でそう言うと、真一さんは、個室の中で僕を痛いくらい抱きしめた。

「わ…っ」
「ずっと、ずっと今日が来るの、待っていたんだ。試験の勉強が終わって、模試が済めば、ドリと初めて、抱き合えるんだ、って…」
「しっ、真一さ…んっ。……その、ぼ、僕も…」
「…ドリ?」
「だっ、だから…勝手に、ラブホテル行くのかな、とか、やらしい事、思っちゃってて…」
「ドリは、そっちの方がいい?」
真一さんの質問に、僕は首を横に振って答える。

「え…と、その…。やらしいとこより、真っ白いシーツが敷いてある、普通のホテルの方が、真一さんらしくって…好き、です…」
ホテルが好きなのか、真一さんに告白してるのか、抱きしめられたままのぼくは、だんだん目の前がぽうっとしてしまって、よくわからなくなってしまった。

真一さんが、優しいキスをくれる。
「…着替えようか、ここで、二人で?」
「え…、…あ、…はい…恥ずかしい、ですけど…」
「俺も、だよ」

狭い個室の中で、互いに相手の制服のネクタイを外し、シャツのボタンをはだけていく。
それは、とても淫らな行為に思えた。
ただ、着替えているだけなのに。
唇や首筋や、胸へのキスが、服を脱ぐたびに増えていく。

「あ、は…ぁっ」
「しいっ、ドリ、静かにして。一応個室とはいえ、ここはまだ、パブリックな場所だから…」
「じゃ、じゃあ…真一、さ…ん、も、ぼく…だ、め…。ここで、そんなに、しない…で…?」

自分のひそひそ声が、今まで聴いたこと無いくらい、甘ったるく個室に響く。
薫ねえちゃんに言われたからだけじゃなくて、自然に、そういう声が出ちゃったんだ。
私服に着替えるって言いながら、ぼくが最後に身につけているボクサーブリーフに手をかけようとしている真一さんに、ぼくは涙のたまった目で、いやいやをした。

「ごめん、ドリ。いじめるつもりじゃなかったんだ。…可愛くて、今言ってもらうまで、正直、夢中で歯止めが効かなくなってた。…許して、くれる?」
こくん、と小さく頷くと、ぼくと真一さんは、ほとんど裸に近い姿で抱きしめ合った。

「じゃあ、この続きは、着替えてからで…いいね?」
「うん。…真一さん、お願い。…して…?」
この一言は、ちょっと、薫ねえちゃんの受け売り。
そうしたら真一さんは、ちょっと頬を染めて、ぼくの唇をくわえこむ。
舌を絡め合わせた深いキスは長く続いて、私服を着るのは、チェックインぎりぎりになってしまった。

(つづく。やっとそれっぽくなってきたな…次はチェックインさせるー!)

2013年10月2日水曜日

(BL18禁)甘いお役目(3)

先輩の名前は、真一さんと言う。名字は…水上(みなかみ)。
初め、僕は「水上さん」と呼んでいたのだけれど、叱られてしまった。

「そんな、他人行儀な呼び方、やめないか?俺のことは、真一、でいいから」
「えっ…だって、先輩なんですから、失礼じゃないですか?!」
「名字で呼ぶ方が、余程失礼だよ。じゃあ、俺も君を、安達さんって呼ぼうか?」
「ヘンですよ、そんなの!僕は年下だし、それに、その…何だか…」

僕が口ごもっていると、真一さんは、誰もいないバス停なのを見計らうと、そっと耳に唇を寄せる。

「俺は、君の事を『ドリ』って呼ぶよ?…いい?」

囁かれて、ぞくぞくっとしてしまう。
もちろん、…気持ち悪いんじゃなくて、その、反対の…意味で。

「ど、どうしてそのあだ名、知ってるんですか?!みな…し、真一さ…ん…」
自分の頬に血が上っていくのが、わかる。

「そりゃあ、少しは調べたからね。知りたかったから、ドリの事を。…可愛い名前だね」

うっわ…ヤバい、言葉責め、ってやつ、こういうの…?
「やっ、なんか…恥ずかしいです、すごく…。誰が聴いてるか、分からないし、僕」

「…じゃあ、今度の土曜、模試の後に時間、取れる?…私服の着替え、持ってきて?」
「えっ」
「他に誰もいない部屋で、何度でも、ドリの名前を呼ばせてくれるかな?」

そ、それって、それは、その…アレですかっっ…?!

「…ごめん、どうやってこういう時に誘ったらいいのか、実は俺もよくわからなくて。…でも、二人きりで一緒にいられる場所に、行きたいんだ…わかる…?」

アレだろう、薫ねーちゃんが言ってた事する場所、だよ、ね…。
そう思った途端、僕は、自分でも自覚しないまま、こっくりと首を縦に振っていた。

「…ありがとう」
「あっ、いっいえ、その、僕…こそっ」

真一さん以上に、どう返事したらいいか見当もつかないまま、僕はとんちんかんな返事をした。

「ここが、道端じゃなくて、俺の部屋だったらな…惜しいよ。ドリの事、いますぐ抱きしめたい」

真一さんの殺し文句で、そんな場面が頭に浮かび、僕はぐらぐらしてしまった。

今度の土曜日、ホテルに行っちゃうんだ。真一さんと。
で、きっと、薫ねーちゃんに教わったみたいな事、しちゃうんだ…
どうしよう…模試の勉強、手に付かなくなっちゃいそうだよ。

ぼうっとしている僕の右手を、真一さんの大きい左の掌が、ぎゅっと、掴んだ。
「…ドリ。模試、頑張ろうな、お互いに。その後、その…ごほうびが、お互いにある、んだから…」

うわ。
そうか…そういうふうに考えれば、いいのかぁ。
学年順位が片手から下がったことない、って言う真一さんの噂は、ほんとうなんだな。

「…はい」
つないだ手を離したくなくて、僕はつい、答えながら、ぎゅっと真一さんの掌を握り返してしまって、そのあと、あわてて周りを見回した。
「大丈夫、もう黄昏時だよ。ちょっと離れてる人には、見えやしないさ。…もう少し、俺の方に寄って立ってごらん?手が、隠れるから」

真一さんのいう通りにそっと近づくと、真一さんは、ちらり、といたずらっぽく僕を見た。
そしてつないだ手をぐい、と引っ張って、僕の体をもたれかけるようにさせる。

恥ずかしいんだけど、それがとても嬉しくて、僕は、バスが来るまで、真一さんにちょっとだけ自分から寄りかかってしまった。

「…いい子だ。土曜は、もっと…甘えて?」
小声で、真一さんはもう一度殺し文句を言った。
「…うん」
僕も、初めて、甘えた口調で返事をしてしまった。
どんどん、この人にはまっていく。好きになってく。…先が見えない。

(つづく。次回は18禁らしくしなくちゃですね、もう4回目になるし!)