2013年10月20日日曜日

(BL18禁)甘いお役目(7、ラスト)

僕は、真一さんの顔が見たくて、たまらなくなった。
別に…悪趣味のような考えじゃなくて、本当に、僕で感じてくれているのか、目で確かめたくて。
あ、その、もちろん…僕の中の、真一さんは…すごく、感じてくれてるのは…体でわかってるんだけど…。

「ねぇ、しんいちさ…っ、かお…みた…い…」
もう、切羽詰まってしまった僕は、それでも切れ切れの小声で、ねだった。
「体…ねじっても…見えない…?」
「わ、わかん…ないっ」
「俺…このまま、ドリの中で最後まで、したいから…抜きたくないよ…?」
「ひゃんっ、そ、そんなこと…恥ずかしいよ、聞いてて…」
「…ドリ。いつでも、いいよ。俺の顔、振り向いて見てごらん。余裕、できたら…」

よゆう、なんてない。
でも、僕は必死で、首を後ろに向けた。
髪が汗で額に貼り付いている、真一さんの顔が、見える。
頬をすっかり紅潮させて、息を荒く吐いている。
そして、僕の視線に気がつくと、微笑みを返して、大きく抜き差しを始めてきた。

「ん…っ!だ、だめっ、そんなにいきなり…も、ぼく…いっちゃうよ、そんな…ぁ」
「…俺も、もういきたいよ、ドリ。可愛く泣いて…?いやらしい言葉、いっぱい、言っていいから…」
「あんっ、それは、それ…は…しん…ちさん…の、ほ…、ああぁ…んっっ」

お互い、ほとんど同時に、出てしまったみたい。
「みたい」っていうのは、その…僕が、一瞬だけど…記憶、飛ばしちゃった、みたいで…。

いつの間にか、真一さんはコンドームをつけてくれていた。
ぐったり寝ころぶ僕と、二人分の後始末をしてくれている。
「ごめん…なさい。…ちから、はいらなくって、いま…」
謝りながら、僕は緊張がほぐれたのと、予想以上に真一さんとのSEXが気持ちよかったのとで、ぽろぽろ涙を落としてしまった。
「どうした、ドリ?…そんなに、まだ痛い…?」
心配そうに顔を寄せてくる真一さんに、僕はやっとの力で首を横に振ってみせる。
「じゃ、なくって…なんにも、できない…体が、動かないんだもの…」
言いながらまた泣くと、真一さんは、僕にそっと、唇に触れるだけのキスをくれた。
「いいんだよ?…だって、それだけ、俺のこと…よかったんだ?」
今度は、こっくりとうなずいて、僕は真一さんの優しい瞳を見つめる。

「ドリ、さあ、眠ってごらん…少し落ち着くから」
毛布を掛けてもらって、二人して乱したシーツの上にバスタオルを敷いてもらって、僕は真一さんと、ベッドの中で抱き合った。
「うん。…でも」
「…ん?」
「何だか…寝ちゃうの、もったいない気がする。僕…その、なんか、あの…眠ったら、もっと、できなくなっちゃう、でしょう…?」
思い切って僕が口にすると、真一さんはちょっと目を丸くして、その後、僕のおでこを指でつん、と突いてきた。
「いたっ」
「ドリ、お前、やっぱりやらしいよ。可愛い過ぎて、俺は困る…」
そう言いながら、ぎゅっと抱きしめてくれた。
あったかくて、とっても気持ちが良くて、僕は、胸が痛くなりそう。
「大丈夫だよ。まだ昼間なんだから。明日の朝まで、何度でもしよう…?」
「…うん。…うれしい」
また、ぎゅっ。

思ったままを、素直に口にすればいい。
それが、愛される僕の、甘いお役目…なのかな?
だとしたら、それはなんて恥ずかしくて、気持ちよくて、たまらないお役目なんだろ。

うっとりと真一さんの胸に頬を付けながら、僕は、静かに目を閉じた。


(おわり。めでたしめでたし! さて、次は年齢制限なしの百合を書こう~!短いの。)