2012年12月26日水曜日

ぼくたちの美郷さん(6)★18禁

3度目のメールは、それから程なく来た。

でも、あいにく私は毎月やってくる、つらい一週間の三日目で、体調が悪いから…と、断りの返信を入れた。

そうしたら、間髪入れずに、返信がくる。

『大丈夫ですか?何か、欲しい物があったら、買っていきます。だから、無理しないで、お家へ帰って、ゆっくりしてください…。あおい・はづき』

うーん、男子高校生に、この女のつらさ、どこまでわかってるのかなぁ。

待ち合わせ場所のカフェに行ってみると、大きなコンビニのビニール袋を下げて、心配そうな顔つきで、二人が待っていてくれた。

「コーヒーでも一杯、飲む?」
「気を遣わなくて、いいですから。俺達、待ってる間、さっき飲んだし」

袋の中をガサガサいわせてのぞいてみると、腰を温めるハーブの香りの温熱シートや、コーヒー味の豆乳、ちょっと贅沢なチョコレート、ジンジャーティーのパックなどが入っている。
うーん、玄人好みのチョイスだな、これは。

「…すごいわ、女心わしづかみのツボばかり詰まってる。誰の入れ知恵なの?」
ちょっと悪戯っぽく、私が聞いてみると、葵が照れくさそうに
「あー、俺、姉ちゃんがいて、そのつどキツそうにしてるから、いろいろ買いにやらされてるんです。だから…。気に入って、もらえましたか?」
と、白状した。

なるほど。
だから葵の方が、葉月より女慣れ(?)してるというわけね。納得。

そのまま、二人は微笑みを浮かべて、「お大事に…」と言いながら、帰って行った。
そのもの分かりの良さが、ありがたいようで、ちょっと、寂しい。

しばらく、カプチーノで身体を温めながら、私は、カフェから出るのを躊躇した。

やがて、体調もすっかり回復した頃の夕方。会社のパウダールームで、私は、初めて二人に、自分からメールを送った。
もちろん、平等を期すために、同じ文面で同時に。

『先日は、本当にありがとう。おかげさまで、もうすっかり元気になりました。で、あの…今度、いつ、会えますか…?二人で相談がまとまったら、教えて下さいね。みさと』

何か、女子高生のメールみたいで、我ながら恥ずかしい。
でも、顔文字やデコメール使ってないだけ、まあ、年相応というところかな。

速攻で、連名の返信が来た。
『俺達、今日、中間考査が終わったんです。だから、明日の金曜、どうですか?あおい・はづき』

…待ってて、くれたんだ。私のこと。
何度も何度もディスプレイを読みながら、私は、ちょっと涙ぐんでしまった。

「どうしたの?美郷さん」
同僚の女の子に顔を見られ、私は泣き笑いの顔で、首を横に振った。

「…何でも、ないの。ちょっと、メールで、嬉しい事があっただけ」
「ふうん。…でもさ、美郷さんって、最近ちょっと変わってきたって、噂になってるわよ」
「え…?」

「何か、前より綺麗になったとか、色気が出てきたとか。恋人でもできたんじゃないか、ってね」
「そんな事ないわ、噂よ、噂」
「本当かなぁ」

何だか、これ以上しゃべってると、本心を見透かされそうで、私はさっさと帰り支度をしに行った。

「あのう…今日は、3人で、その…するわけ、でしょ?…どうやって、するの?」

いつもとは違うホテルの、ダブルルームを選んだのは、恥ずかしい事をするのに、同じホテルでは気がひけてしまうから。

「俺達も…その、経験、ないから…よく、わからない、けど…」
「…でも、3人揃って、同時に気持ちよくなれたら、いいんじゃ、ないかな…」

3P初体験者の集まりは、どうも歯切れが悪い。

そりゃ、当たり前よね。
誰も知らないこと、するんだもの。

「よしっ、まずは3人で一緒に、シャワーを浴びて、風呂に入る!」

葵の提案に、葉月と私は
「えーっ!」
と、大声をあげた。

「…だって、何したらいいか、わからないんだから、とりあえず3人で、一緒に裸になって、考えてみたらいいんじゃないかな?もしかして…何か、始まっちゃうかもしれないし」

うわ、葵ってば、大胆。
でも…確かに、一番現実的な方法かも、しれない。

それに、…内緒だけど…これだけ若くて綺麗な身体の男の子二人と、一緒にお風呂に入るなんて、すごく、ドキドキが止まらない感じ。

…ばかね、私ったら。
もうすっかり、いやらしい考え方が身についちゃってる…。

「あのー、風呂の湯、たまったー…」
私がごちゃごちゃ考えてる間に、もう葉月は、バスタブにお湯を張っておいてくれた。

3人で一緒に入っても、どうにか、ここの部屋のバスタブはもってくれた。
でも、さすがに、お湯は端からあふれっぱなしだけど…。

私が思っていたより、何だか、3人とも、姉弟みたいな気分でお湯につかっている。

「ねえ…お風呂、気持ち、いいわね」
「うん。ちょっと、狭いけど」
「…思ってたよりも、平気、かも…3人で入るのに」
「何かさ、テレビの旅番組みたいな感じ、しない?」
「窓もない、トイレの見えるユニットバスで?」

葵の言葉で、私と葉月はプーッと吹き出す。

うーん、なんだか、今夜はだめかなー。
…ま、それはそれで、いいかもね。
何もしないで、きゃあきゃあ、修学旅行の夜、悪戯っ子達が一つの部屋で転がってるみたいで。

と、思ったら。

私のそんな甘い思いは、見事に打ち砕かれてしまった。

一緒に出てきたとたん、私は、あっという間に二人にベッドへ押し倒された。

(つづく。…次回分の下書きが私的にハードなので、アップ前にちょっと手直しさせてください!)