2012年12月21日金曜日

ぼくたちの美郷さん(1)★18禁

あー、ついに、男女3人ものの18禁下書きに手をつけちまいました…っ。

「女の子どうしじゃなくちゃ、やだ」

「男女二人のカップルじゃないと、許せないっ」

「18禁っていうと…内容があっち系でしょ?きらーい」

…という方、今回はどうぞこの先、お読みにならないことをお勧めいたします。
(間口がどんどん狭くなっていくなぁ、我ながら…苦笑)

                    ※

いつから、こんなことに、なってしまったのかしら。
正式な日付なんて覚えていないけど、初めて出会った日の衝撃は、覚えている。

私は、美郷(みさと)。二十代半ばのOL。ごくごく普通の。
彼氏は…大学の時には、いたけど、就職先が遠くなったら、自然消滅してしまった。

髪は黒、セミロングのストレート。仕事でパソコンに向かうときだけ、眼鏡をかける。
普段は裸眼でまあまあギリギリ、というところ。
体型はごく普通…と、思ってたんだけど…。

あの、二人に会うまでは。

「あの、いきなりですいません。俺たち、ずっと、お勤めのあなたと一緒の電車に乗ってて…ずっと、あなたのこと、気になってたんですけど…」

文庫本を手に、定位置の出入り口付近の手すりにつかまっていた私の前に、二人の男子高校生くらいの年頃の子が、急に話しかけてきた。

背の高さは、私より15センチくらい高い感じ。
二人とも、真っ白いカッターシャツに黒のスラックス。特に着崩した感じや、ジャラついた小物もつけていない、素朴と呼べるくらいに、まっとうな外見。

そして、チラリと見ただけでもわかる、なかなかのイケメンぶり。
周りで座っている女子中高生が、ちらちらと二人を見ていることからも、わかる。
頭のいい学校に通ってるんだろうな…きっと。

「まず自分のことを名乗るのが、紳士の礼儀よ?どこの高校に通ってるの?」
「あ、すいません。えっと、二人とも、名峰学館です…」

ヒュウ、と私は心の中で、蓮っ葉な口笛を吹く。
この沿線でダントツの進学校じゃないの。

「そう。私の勤務先も言わなくちゃ、失礼だわね。私は…」
「分かります、その制服で。東洋海上保険ですよね?就職希望率トップテンに入る」
「どうして知ってるの?ウチの制服、同業他社の中じゃ、地味で通ってるのよ」
「いや、あの…あなたを見てから、ちょっと授業を遅刻して、二人で後を…」
「まあ!天下の名峰生が泣くわよ、そんなことして!」
「す、すいません…」

しかし、若くて頭もご面相もいいのに、腰の低い二人だなあ…。
(これはきっと、何かあるわね…)

「あなたたち、どこの駅で降りるの?」
「あなたと同じ駅で。いいですか?」
ぱあっと明るくなった二人の顔は輝くようで、その若さと美しさが、失ってしまった私にとっては、とてもまぶしくうつった。

駅前の、チェーン店のコーヒーショップに入る。
「俺は、葵っていいます」
「俺、葉月です」
「私は、美郷。…で、ご用件はなあに?」

私がそう聞くと、二人はしばらく、お互いの肘をこづいて何やらもにょもにょしていたが、思い切ったように、葵と名乗った方の子が、言った。

「あの…俺たち、電車であなたを初めて見かけた時に、二人一緒に、一目惚れしちゃったんです。…で、変態なわけじゃないんですけど…俺たち二人と、美郷さんと、三人で…おつきあいができたら、すごく、嬉しいなって…。いま、彼氏とか、いらっしゃいますか?」

聞いた途端、私は飲みかけていたキャラメルラテを噴き出しそうになって、むせた。
「い、いないわよ…だけど、どうして、そういう考えになるわけ?」

今度は、葉月という方の子が、少しぼそぼそっとした話し方で答える。

「ええと…俺と、葵は、小学部の時から、ずっと、親友で…まあ、別々の女子とつき合ったこともあるけど、女子から『あんた、葵くんの方が私より大事なんでしょっ』とか、言われて…まあ、事実だから、そう答えると、ビンタと一緒に振られるとか…あって。あ、でも俺と葵は、絶対ホモとかじゃないです。男には、一切反応しないんで…」

すごい論理だわ。
仲良し二人組が一緒に一目惚れしたからって、三人で付き合おうだなんて考え。

でもさ…目の前の二人、もう高校生だし、これだけ健康なんだから、考えてないわけ、ないわよね。
男が二人に女が一人…つまり、いわゆる、その、世間でいう、「3P」って、やつ。
どうしても気になって、私は、質問をぶつけてみた。

「…じゃあ、もし、もしよ?私とあなた方がつき合いだして、とても気があっちゃったとしたなら、お互いにこの年頃でしょ?…3Pとか、想定してるわけ?」
「いいんですか?!」
「…最高です…!」
…聞くんじゃなかった。

唯一の救いは、葵と葉月が同時に叫んでくれたので、他のお客さんには何言ってるか、まずわからなかっただろうな、っていうこと。

同時に、年上の姉御、彼氏いない歴約3~4年の私から切り出してしまったのだから、こりゃまあ、バクチみたいなもんだろう…と思い、この店を出たら、その手のホテルよりもランクの高い、こざっぱりしたシティホテルに行くことを提案した。
まあ、高校生だし、外れてもともとだもんね。

二人の男の子は、二つ返事。
ホテルへ行く途中でコンビニに寄り、うきうきと相談しながら、何やら物色していた。

ま、何買う気か、わかっちゃうけどね。
20代半ばのおねーさんには、さ。

でも、この時点では、私はわからなかった。
この二人が、すごいテクニシャンで、私の体も、そして心も、どんどん溺れていくことを。

(つづく。…年末年始をはさみそうなので、気長に見てやってください…)