2013年5月5日日曜日

(18禁★)可愛くて、困っちゃう、ひと。(4・終)

ややあって、仁美は手すりに掛けてある、柔らかい生地でできた鹿野先生のスカートを手に取ると、パンプスを履いたままの先生の足下から、ゆっくり、着せていった。

秘められていた下着を飾る、細やかなレースの装飾に、ファスナーをかませないよう、注意しながら。

細くくびれたウエストまで、ファスナーを上げ、留め具を嵌める。

「…え」

思わず、鹿野先生は声を、小さく、上げた。
更に仁美が、自分に対して狼藉を行うのかと、想像していたので。

「…すみませんでした、先生。…いま、手の戒めも、外しますから…足下、気をつけて下さい」
仁美の声は、先生と同じくらい小さく、でも、きっぱりとしたものだった。

「…私、先生の胸、見る度にとても気になって…一度、こういうふうに、してみたかったんです。そして、さっきまで、もっと酷いこと、してみたいっていう気も、ありました。…でも、今の先生の一言を聞いて、…私、そんなに打算的な人間だと思われてて、嫌われてるのかと思ったら、何だか…。まあ、嫌われて当然の事したり、言ったりしたわけですものね。当たり前です…」

ぽつりぽつりと懺悔しながら、腕のネクタイを外し、ブラのホックをかけて、ブラウスのボタンを下からひとつ、またひとつ…と、仁美は先生の身支度を進めてゆく。

「…どなたに告発なさっても、構いません。事実は、事実ですから。図書委員長が、司書の先生を書庫に連れ込んで、強姦した…そう、おっしゃって下さい」

「どうして、そんな事をいうなら、初めからしないでおこう、とか思わなかったの? 内申レベルの問題じゃないわよ!?下手すれば、退学ものだわ!」

「…それでも、したかったんです。私。…先生と」
「打算、抜きで?」
「勿論。…第一、打算って何ですか?私には、先生を脅すことでメリットは何もないし、ここにはカメラの類も、私以外のギャラリーも一切、ありませんから」

「…じゃ、何で…さっき、途中で、…止めたの?」
「え」
「ひとの体をさんざんその気にさせておきながら、どうしてそんなに、簡単に放り出せるのよ?!」

視線を真っ直ぐに交わしながら、書庫の最下層で、二人は言葉を交わす。
それは、ある意味さっきまでの体の行為より、真摯で、だからこそエロティックな匂いすら漂う。

「…っ、それは、打算的だと言われたから、違うと証明したかっただけで…そ、その気に…?先生、まさか、さっきの私の仕打ちで…」

にらみつけるようにしながらも、鹿野先生は、真っ赤な顔のまま、言い放つ。
「…あなたのおかげで、私、すっかり濡れてしまったのよ、仁美さん。…責任、取りなさい」
「せ、責任…?」

「女同士がどうやって達するか、貴女、知らないはずないでしょう?…スカートはいいわ、そのままで。でも、ショーツは…脱がせて…」
「先生っ?!」
「そうしたら、仁美さんは、私のスカートの中へ頭を入れなさい。どうしたらいいか、答えは…そこにあるわ」

「いいんですか、先生…本当に、後悔しませんね?」
驚きと嬉しさが混ざった表情を見せる仁美の唇を、鹿野先生は人差し指で、そっ、と抑える。

「その代わり、ここでの出来事は、二人だけの秘密よ。告発もしない、退学沙汰にもならない。つまり、強姦じゃないのよ、これは。和姦、なの」
「先生…!」

鹿野先生は、今度は縛られることなく、自分から頭の上の手すりにつかまる。
跪いて、スカートの中を蹂躙してくる仁美の攻めから、無駄と知りつつ、こらえようとして。

仁美は先生のショーツを丁寧に脱がせると、自分の制服のポケットに入れた。
そして、何も隠し所のなくなった、先生の太腿の間を存分に責める。
指で開き、舌で尖らせていく。
あふれ出る歓びの証を、飲み込んでいく。

先生も、吐息を次第に大きくし、喘ぎ声に変わり、やがて恥ずかしくよがり始めた。
その頃にはもう、先生も自分から脚を大きく開き、仁美の容赦ない責めを、余すところなく堪能する。
「あん、そ…そこよ、そこなの…ね、お願い、仁美さん、そこして、ねえ、ずっとそこ、して…ああっ」
揺れ始めた鹿野先生の腰に手を添えて、仁美は先生の求めに従属する。
さっきまでの、主導権を取っていた時とは違う、奉仕者としての歓びに仁美は酔いしれた。

形の良い先生の胸が淫らに揺れ、下着を着けているはずなのに、ブラウスの上からも乳首が尖って見える。
「あ…して、ねえ、そこよ…指と、舌と…両方で、して…あああ、も、だめ、もうすぐ、あっ、…いくっ」
わずかに苦しそうな余韻を残しながら、鹿野先生は歓んで声を上げ続け、そして間もなく、全身をびくびくと震わせた。

手すりにつかまったまま、荒く息を吐く鹿野先生の秘密の場所を、仁美は自分の清潔なハンカチで丁寧に清め、ゆっくりと刺激にならないよう、ショーツを履かせていった。

「…あ…、すごく、よかった。仁美さん、…ねえ、次は、…いつ…?」
うっとりした声音で訊ねてくる先生に、仁美は、静かに答える。

「…次は、…ないと、思います。…たぶん」

「…え?!」
「だって、私、満足してしまったんですもの。可愛い過ぎて困るほどの鹿野先生を、陵辱する…っていう、目的が達成されて」

「……?」
「これから先、先生と私が交わるとしたら、きっともう、その全てが、和姦なんです。陵辱、ではなくなるんです。…なので、もう私は、満足したんです…」

実際にこうなってみて、初めて、仁美は知った。

自分は、先生と愛し合いたいわけじゃなかったんだ、と。
互いにセックスして、幸せになりたかったわけじゃない、と。

ただ、そこに可愛くてたまらないものがあったから、自分の自由にしたかった。
恥ずかしがって、困る姿が見たかった。
それだけだったんだ…と。

(弱ったな、自分にこんな性癖があるなんて…)

手の甲で、濡れた唇をぐい、と無造作に拭くと、仁美は呆然としている鹿野先生の横を通り、書庫の重い扉へと続く、鉄の階段を昇っていった。

(おわり…こんな終わり方になるとは、私も意外…)