2012年8月30日木曜日

エンゲージ(3)

自分が刺激をしてしまった結果、この可愛らしい婚約者が、心も体も見た目以上の発展家さんにすくすくと育ってきたことは、困るどころか、むしろ嬉しい。

が。
十六歳、今日婚約したばかりのお嬢さんに、成年である自分がどこまで自制心を保ちながら、可愛ゆい申し出をある程度満足させてやれるのか…ある意味、自分が男であり、現在そういう欲望と日々戦いながら(それはひとえに、鹿乃子への愛情のため)いる以上、当然のように制限は必要である。
では、どこまで?

鹿乃子は、和也の返事が思いの外遅いので、いつの間にか、隠していた顔をそうっと出し、和也の表情をうかがった。
自分に負けず劣らず真っ赤な顔で考え込んでいるところを見ると、どうやら自分が病気かどうかで悩んでいるわけではないらしい。

では、なにをお考えでいらっしゃるのだろう…。

ややあって、和也は、真っ赤な顔のまま、向き直って話し出した。

「まず、お前は病気じゃない。それは確かだ」
「それは、ようございました。…では、何なのでございましょう?」
「俺も…確かめたわけではないが、おそらく…お前が、心も体も俺の事を好いていてくれる、その証だと思う。年頃の恋いこがれる婦女子なら、皆、普通にあることだろう」
「ええええ、そうなんですか……!」

「で、俺が今まで、何を悶々と悩んでいたかと…いうとだな」
「…はい…?」
「その、お前の証を、正直言うと、俺は自制心など吹っ飛ばして、今夜も明日の昼も夜も、ずっと確かめたいんだ。…愛しているから。でも、お前はまだ婚約者で、十六で、母親になんかさせられないし、正直、困っているんだよ…」

和也の飾り気のない白状に、鹿乃子は、しばらく顔を赤らめてぼうっとしていたが、やがて、意を決して、こう言った。

「…和也さま。…この朱宮 鹿乃子、ご遠慮を一切捨てて申し上げます…今夜のところは」

(なし、だろうなあ…)と、和也が思って聞いていると、

「…今夜のところは、私自身が確かめたくとも出来ない、その…口では申し上げられない、その場所だけを、本当に変でないかどうか、お確かめいただきたいのですが…」

だんだん小声になりながら、鹿乃子は、寝台の上に正座して、深々と土下座をする。

目の前のお転婆婚約者を前にして、和也は、改めて度肝を抜かれた。
子供の頃からまっすぐな気性で、そこらの男よりも思い切りがよく大胆で。
そして、その裏には、自分の欲望への忠実さと、相手への思いやりが調和されて。

「…まったく。敵わないね…鹿乃子には」

「失礼で、ございましたか?!」
あわてて顔を上げる様子には、、昔ながらの無邪気な可愛いらしさが残っている。

「寝台に、横になって…。俺も、お前の大切な所を知りたいし、歓ばせてあげたいから…ランプは、近いのをひとつだけ、点けておくよ?」
正座をしている鹿乃子をふわりと仰向けに抱き上げてから、和也は新しい方の寝台へ、いとしい婚約者を寝かせた。

「脱がなくて、いい…今度は、紐よりも下の方を開くから」
「かずや、さま…?どうして、私の話した場所が、そこだって、おわかりになるんですか…?」
「…男もね、同じなんだよ。好きでたまらない相手の前では、似たような所が変化する。まだお前には早いから、教えないけど…。さ、変だと思うところを、見せてもらうよ?」

鹿乃子は、決死の覚悟で、裾に手をかけた。
その上に覆い被さるようにして、ゆっくりと、和也は足首を持って開かせていく。

胸の時より、想像以上、だった。
鮮やかな色を保ち、鹿乃子のそこは、花に例えればまさに盛りを迎えようとする風情。
つややかに、ひっそりと可憐な花が咲こうとしていた。
まだ何も知らないながら、早く愛する人に会いたい、という様子で。

和也でなくても、これだけの名花を見せつけられて、何もしない男がいようか。
その後は、もう彼は言葉もなく、舌と口を使ってこの花を蹂躙しつづけた。

鹿乃子ははじめ、あまりの恥ずかしさに毛布掛けを噛んで声を殺していたが、やがて我慢できなくなり、可愛らしく悩ましい声が、夜明けまで部屋中にこだました。

(つづく…!)