2011年4月19日火曜日

ラブ様にお願い!(2)

(オカルト趣味のクラスメイトに習った魔法陣、まさか、ホントに効いたんじゃないよね…)
誰にも言えない想い人の後ろを、茶色の革鞄をかかえるようにして歩きながら、考える。
(どうして先生は、私が教室に一人でいるのがわかったんだろう?)
二人だけで廊下を歩く中、校庭から聞こえてくる部活のかけ声がこだまする。
「…何、してた?」
「ひえっ?!」
いきなり世界一答えられない質問をぶつけられて、朝香はすっとんきょうな声をあげた。
「怖く、なかったのか?」
「い、いいえ…」
「何をしてたか知らないが、よっぽど夢中になってたんだな?」
そう言いながら、先生の背中がちょっとだけ、クスリ、と揺れて見えた。
暗闇の中、見間違いかも知れないけれど。
「…そういえば、朝香さんは、珍しく私の事も怖がらないな。大抵の生徒は、不気味だの実験オタクだのと勝手にレッテルを貼って、授業の最低限以外は寄りつきもしないが」
(怖がるわけ、ないじゃないですか!!)
みつき先生にそう言いたかったが、やっぱり、心の中の何かが邪魔して、言えない。

あー、ラブ様、どうしたらいいんでしょうか?!