駅近くの地下道出口から地上へ出ても、まだ雨はやんでいない。
このままだと、雷うんぬんのまえに、ふたりそろって風邪を引きかねない。
「ねえ、ネオンキラキラとか、自由の女神さんがたいまつ持ってるお人形とか、ないんだー」
「んなモン、こんな繁華街に堂々と建ってないっつの!」
「じゃあー、どこらへんのが、ん、と…ラブホ…?」
梨奈に聞かれて、まじまじと実果も繁華街から一歩入った道を行く。不安そうに手を伸ばした梨奈の掌を、ぎゅっと握りしめながら。
「カレシと行ったことがある、って友達が…確かこのへんに、二、三軒並んでて…って、…あれか?」
白や薄ピンク、薄水色の似たような細っちいビルが数軒並んでいる。で、そのどれもが入り口の所に4桁の料金プランが書いてあったり、目隠しの壁やシールドが張ってあったりして、いかにもそれっぽい。
「…ね、梨奈、どこにするっ?」
「ひいいん、まだゴロゴロ言ってるよぅ、もう、どこでもいいからぁ、実果ちゃんに任すぅ~」
任されちゃっても困っちゃったもんで、改めてじっくり吟味したいところだが、往来を行く人々の視線が、女子高生二人に刺さりまくってくるようで、どーも、イタい。
「決めたぁっ!」
実果は、心の中で(ここ重要、アンダーライン)叫んだ。
真ん中にしよう。
一番こぎれいだし、両側からプレッシャー受けてる分、料金かサービスか何かで、お得かもしれない。
と、いうことで。
前回(1)の冒頭部のごとく、1,2,3,go!になっちゃったわけである。
次回は、さーていよいよラブホ内部に突入してしまった二人の様子を描きますよ~ん♪