ちょうどクラスレクの頃ともなれば、やや流動的な所は残りつつも、友人関係が固まってくる。
るみかは、その中の一人で、女子同士でも偏見のなさそうな友人、蒼に探りを入れた。
「ねえ、こういう時ってさ、新しく友達になりたい娘と、近づけるチャンスだよねぇ…」
すると、そこはさすがに察しのいい蒼、
「おっ、つーことは、るみかにはお目当てさんがいるって言う事ね? 誰よ誰よ? 協力、するからさっ」
「うーん…まだ、言えないんだけど…」
「あら、意外とシャイなんだ」
「意外ってなによ、意外って!」
「いやいや、まあまあ。ともかく、クラス委員の一人である私に振ってくるって事は、何か意図があるんでしょ?」
「…うん。実は、ね…」
「なになに、なーによ?」
こういう時って、話し相手をどれだけ信用していいものか、すごく、迷う。
変に広められたら嫌だし…ましてや、女子同士の片想いなんて、悲しくなっちゃうかも。
でも、逆に女子同士だからこそ、告げないと、自分の気持ちなんてきっと、一生分かってもらえない。
「あー、わーかった!」
突然蒼が叫んだので、るみかはびくっ、とした。
「アレでしょ? レクの時のグループ分けで、誰かと一緒になりたい、って事でしょ?」
「…違う。その逆なの…」
「へ?」
鳩が豆鉄砲な蒼を前に、るみかは悩ましげにため息をついた。
(だって、同じグループになったら、確かに一緒にいられる時間は長いかもしれないけど。でも、グループ対抗戦で私が王様にならなくっちゃ、早苗さんに、キス、お願いできないんだもの…)
蒼が考えている以上に、結構したたかで、いい意味のプライドをかくしもっている、るみか。
もしかして、これが、恋の力…ってものかも知れないんだけど。
(つづく~)