というわけで、本来なら今夜、このブログに一週間分のストレスをお話に代えて、キーを叩きたいところなのですが。
哀しいかな、気力がでません…
あと、毬子ちゃんと貴子さんのお衣裳の柄も、せっかくなら狙いをつけてある図書館の本を参考にして、しっかり(?)書きたいな、と。
なのでなので、今夜はまだ9時前だってのに、地方ニュース観ながら、寝かせてください!
すいません!
ここんとこ、残業で夜更かししてる時以外は、家で一番早く寝てんの…
で、きっと明日は遅くまで起きてこないよ(泣)
家事は誰もしてくれないから、するけど(泣×2)
では、この土・日のいずれかにー。
2013年5月31日金曜日
2013年5月28日火曜日
充電中~
おヨメちゃんのお話、途切れていてごめんなさいーーー。
もうラストまで、あらかた決まっているのに、仕事と気力のせいにして、まだ書けなくて~~。
それなのに、いろんな国からアクセス、ありがとうございます。
お国の名前を見る度、
「あー、うちの国のあやつが泥の上に泥を塗っている状態なのに、よく来てくださってるなあ」
と、ホント、ありがたいです。
だけど、そのついでだか違うのか、かつて書いた18禁のお話を読んでくださってる方がいて、これもまた嬉しいですー。
ではではっ。
もうラストまで、あらかた決まっているのに、仕事と気力のせいにして、まだ書けなくて~~。
それなのに、いろんな国からアクセス、ありがとうございます。
お国の名前を見る度、
「あー、うちの国のあやつが泥の上に泥を塗っている状態なのに、よく来てくださってるなあ」
と、ホント、ありがたいです。
だけど、そのついでだか違うのか、かつて書いた18禁のお話を読んでくださってる方がいて、これもまた嬉しいですー。
ではではっ。
2013年5月25日土曜日
「連れだって走る」について考える(つぶやき)
きょう、バイパスを車で走っていたら、アメリカンバイクが7台ほど、隣の車線を走っていきました。
薫風の中、大変楽しそうに見えました。
(ほら、メットでお顔の表情は見えませんからね)
私は、バイク乗れないし、車も一人でドライブが好きなので、
「連れだって走る」楽しさを想像することが、できません。惜しいかな。
中学の部活で対外試合行くとき、部員のみんなで自転車連ねてったけど、あれは目的じゃなくて手段だったしね、楽しくなかったし。
行ったことがない場所へ、車で他の人に案内してもらう時、後ろについて走るのも苦手です。
それなら、助手席に乗って、ナビしていただく方が好きかなぁ。
…でも、それって「連れだって走る」に入るのかしら?
うーん、聞こえよく言えば「自由に、心の赴くままに」
ネガティブに言えば「わがままに」
私は、一人でどこかへ、たったかと走っていってしまう、そういう気質のようです。
さて、次回はつぶやきじゃなくて、毬子さんと貴子さんのお話の続きを書きたいなー。
薫風の中、大変楽しそうに見えました。
(ほら、メットでお顔の表情は見えませんからね)
私は、バイク乗れないし、車も一人でドライブが好きなので、
「連れだって走る」楽しさを想像することが、できません。惜しいかな。
中学の部活で対外試合行くとき、部員のみんなで自転車連ねてったけど、あれは目的じゃなくて手段だったしね、楽しくなかったし。
行ったことがない場所へ、車で他の人に案内してもらう時、後ろについて走るのも苦手です。
それなら、助手席に乗って、ナビしていただく方が好きかなぁ。
…でも、それって「連れだって走る」に入るのかしら?
うーん、聞こえよく言えば「自由に、心の赴くままに」
ネガティブに言えば「わがままに」
私は、一人でどこかへ、たったかと走っていってしまう、そういう気質のようです。
さて、次回はつぶやきじゃなくて、毬子さんと貴子さんのお話の続きを書きたいなー。
2013年5月22日水曜日
花嫁御寮とおヨメちゃん(4)
畳の間へ二人が入っていくと、既に打ち合わせてあったのだろう、毬子が呼び声を挙げた。
「くみ、あや。お願い、手伝って頂戴。手はずは、先程お話した通りにしてね」
地味な着物に前掛けをした、二十代半ばあたりの侍女が二人、音もなく襖を開けて現れる。
無意識に歩きながらも、すすすす…と、決してへりを踏まずに歩くのは、礼儀作法の訓練のたまものなのだろう。
「さあ、貴子さん…どちらから、羽織ってごらんになる?今お召しになっている、蒼のダイヤ柄の銘仙の上から、そのまま肩にどうぞ?」
わくわくと、毬子は勧める。
「でも私、一人では照れくさいわ。もう一方のお召し物を、毬子さんもお体に当ててくださらないと」
心底、二つの花嫁衣裳を前に迷いながら、貴子は応じる。
「では、お二方とも、お近くのお衣裳からになさっては…?」
侍女二人のほうでも年かさの方のくみが、横から、つい口を挟む。
「お黙りなさい!くみには尋ねておりません。わたしは、貴子さんに伺っているのです」
紅雀のように可憐な毬子の口元から出た、意外にも強い調子の叱責に、貴子は驚いた。
ただ、その一言に意地の悪さは全く感じられない。
『あなたは、ここで出しゃばる存在ではない。己の分をわきまえ、控えなさい』
上に立つ立場として生まれた者が、ごく当たり前のように子供の頃から教えられた、下の者を使うための言い回しに過ぎない。
「自分の家を没落したかのように言っていた毬子さんだけれど、さすが九重家のお嬢様だわね…」
貴子自身もそうやって育てられ、しつけられてきたので、毬子の対応には共感できる。
案の定、くみと呼ばれた侍女は、平身低頭して襖近くへとにじりながら下がっていった。
「ごめんなさいませ、貴子さん。失礼をいたしまして…では、わたしが先に羽織る方を決めてしまって、よろしい?」
「ええ、従いますわ」
「では、こちらの白無垢から…さすがに、今日は綿帽子をつけませんけれど。そうしたら、わたしは黒振袖をお先に当てさせていただきますわね?」
毬子の言う通り、あやの手助けを受けながら、貴子は白無垢のふんわりした着物に、おそるおそる袖を通していった。
(つづく…子供にこのパソコンを乗っ取られたので~!)
「くみ、あや。お願い、手伝って頂戴。手はずは、先程お話した通りにしてね」
地味な着物に前掛けをした、二十代半ばあたりの侍女が二人、音もなく襖を開けて現れる。
無意識に歩きながらも、すすすす…と、決してへりを踏まずに歩くのは、礼儀作法の訓練のたまものなのだろう。
「さあ、貴子さん…どちらから、羽織ってごらんになる?今お召しになっている、蒼のダイヤ柄の銘仙の上から、そのまま肩にどうぞ?」
わくわくと、毬子は勧める。
「でも私、一人では照れくさいわ。もう一方のお召し物を、毬子さんもお体に当ててくださらないと」
心底、二つの花嫁衣裳を前に迷いながら、貴子は応じる。
「では、お二方とも、お近くのお衣裳からになさっては…?」
侍女二人のほうでも年かさの方のくみが、横から、つい口を挟む。
「お黙りなさい!くみには尋ねておりません。わたしは、貴子さんに伺っているのです」
紅雀のように可憐な毬子の口元から出た、意外にも強い調子の叱責に、貴子は驚いた。
ただ、その一言に意地の悪さは全く感じられない。
『あなたは、ここで出しゃばる存在ではない。己の分をわきまえ、控えなさい』
上に立つ立場として生まれた者が、ごく当たり前のように子供の頃から教えられた、下の者を使うための言い回しに過ぎない。
「自分の家を没落したかのように言っていた毬子さんだけれど、さすが九重家のお嬢様だわね…」
貴子自身もそうやって育てられ、しつけられてきたので、毬子の対応には共感できる。
案の定、くみと呼ばれた侍女は、平身低頭して襖近くへとにじりながら下がっていった。
「ごめんなさいませ、貴子さん。失礼をいたしまして…では、わたしが先に羽織る方を決めてしまって、よろしい?」
「ええ、従いますわ」
「では、こちらの白無垢から…さすがに、今日は綿帽子をつけませんけれど。そうしたら、わたしは黒振袖をお先に当てさせていただきますわね?」
毬子の言う通り、あやの手助けを受けながら、貴子は白無垢のふんわりした着物に、おそるおそる袖を通していった。
(つづく…子供にこのパソコンを乗っ取られたので~!)
2013年5月20日月曜日
花嫁御寮とおヨメちゃん(3)
二人して何やかや言いつつも、結局、貴子さんは学校の休日に、毬子さんのお家からお迎えに来たパッカードに乗って、お出かけすることと相成った。
「わざわざ、迎えにいらっしゃらなくても良かったのに…、家のクライスラーで参りましたわ」
「あら、だってわたし、とても楽しみで楽しみで、ひとときも待っていられなかったんですの。だから、運転手の杉崎にお願いして、貴子さんのお家へお邪魔したのよ?」
その言葉通り、座席の上でぽんぽんと跳ね上がりそうな勢いで、毬子さんははしゃぐ。
「ほんとに、毬子さんたら…楽しい方ね」
(可愛い)と言いたいところだが、運転手もいることだし、貴子さんはそう返事をしておいた。
やがて、パッカードは広い門を抜け、しばらく木立を抜けて、玄関の車寄せに静かに停まる。
杉崎にドアを開けてもらい、御礼を言って、毬子はぴょんと飛び降りる。
そうして、次にドアを開けてもらって下りる貴子の方へ回り、楽しくてたまらない、という顔で出迎えた。
「まあ、素敵な洋館にお住まいなのね…」
貴子は、初めて訪れた毬子の自邸を、ため息とともに見上げた。
「おじじ様がね、昔、外国の公使をなさってらしたんですって。だから、万事洋風にお造り遊ばした…って、小さな頃から聞かされて育ったわ。だから、外見はともかく、中は、古いの」
そんな事はどうでもいい、早く行きましょう、というように、毬子は貴子の手を引いて導いた。
自由に手をつなぐなど、女学園の中では、とても、できない。
毬子の持つ無邪気な開放感に惹かれ、貴子も手を引かれて後を追う。
「このたびは、御前様ならびに御令室様におかれましては、お健やかにお過ごしのこと、お慶び申し上げます。こなたは西桂侯爵家の長女、貴子でございます。突然の来訪、無礼をお許し下さいませ」
貴子の典雅な物腰と、桜貝のように美しい唇から流れ出る流麗な挨拶に、九重家の皆は驚き、歓待した。
「まあ、なんとお若いのにご立派なお嬢様ですこと…!毬子さま、貴子お嬢様のお爪を少々頂戴して、煎じてお飲み遊ばせ」
毬子付きの侍女頭に諭されて、一家は明るい笑い声に包まれた。
「んもう、いつもそうやって、末っ子のわたしを皆で構うんだもの。いやんなっちゃうわ。…さ、貴子さん、参りましょう?もうね、奥の和室に、お衣裳が衣桁に掛けて並べてあるのよ」
「え?こんなモダンな洋館に、和室があるの?」
「ええ。おじじ様についていろんなお国を回られたおばば様は、やっぱり畳の上でのお暮らしが恋しくていらしたのですって。だから、このお家を建てられた時も、おばば様のお部屋と茶室だけは、畳が敷いてあるのよ。あと、お靴やお草履も、お脱ぎ遊ばしていいの」
お付きの娘達が毎日磨いているのだろう、足袋が映りそうにつやつやと光る廊下の真ん中を、毬子はごく平然と歩いていく。
その後を、貴子はやや遠慮がちについて行く。
「どうなさって?ご遠慮なさらず、お廊下の正面をお歩きになっていいのよ?」
「…だって、客人ですし…こんな綺麗なお廊下、勿体なくて歩けなくって…」
「あら、それは困ってしまうわ。そんなでは、貴子さんがおばば様のお部屋に着く前に、日が暮れてしまってよ?」
冗談めかして、うふふ、と毬子は笑うが、あながちその言葉も嘘とは思えないほど、九重邸は広く、美しく入り組んだ造りになっていた。
「さすがは、応仁の乱で天下に名を馳せた九重家ねえ…。毬子さんがお友達でなければ、私なぞ、一生縁のないお屋敷だったでしょうね」
「でも、今は爵位もない、この邸と同じ、外見だけを取り繕った家だわ。…さ、そんな事より、こちらが亡きおばば様のお部屋よ。義姉さまのお着物を、どうぞご覧じろ!」
さっと毬子が襖を両手で開けると、そこには、目映ゆい花嫁衣装が衣桁に掛けられて、並んでいた。
「……!」
そのあまりの美しさに、貴子は、言葉をしばし失う。
「貴子さん、今日は私の目の前で、この衣裳をどちらも羽織って見せてね?そうして、貴女に似合う方を、まず、決めましょうよ、ね!」
毬子は、にっこりと微笑みながら、後ろに立つ貴子へ振り向いて、言った。
(つづく)
「わざわざ、迎えにいらっしゃらなくても良かったのに…、家のクライスラーで参りましたわ」
「あら、だってわたし、とても楽しみで楽しみで、ひとときも待っていられなかったんですの。だから、運転手の杉崎にお願いして、貴子さんのお家へお邪魔したのよ?」
その言葉通り、座席の上でぽんぽんと跳ね上がりそうな勢いで、毬子さんははしゃぐ。
「ほんとに、毬子さんたら…楽しい方ね」
(可愛い)と言いたいところだが、運転手もいることだし、貴子さんはそう返事をしておいた。
やがて、パッカードは広い門を抜け、しばらく木立を抜けて、玄関の車寄せに静かに停まる。
杉崎にドアを開けてもらい、御礼を言って、毬子はぴょんと飛び降りる。
そうして、次にドアを開けてもらって下りる貴子の方へ回り、楽しくてたまらない、という顔で出迎えた。
「まあ、素敵な洋館にお住まいなのね…」
貴子は、初めて訪れた毬子の自邸を、ため息とともに見上げた。
「おじじ様がね、昔、外国の公使をなさってらしたんですって。だから、万事洋風にお造り遊ばした…って、小さな頃から聞かされて育ったわ。だから、外見はともかく、中は、古いの」
そんな事はどうでもいい、早く行きましょう、というように、毬子は貴子の手を引いて導いた。
自由に手をつなぐなど、女学園の中では、とても、できない。
毬子の持つ無邪気な開放感に惹かれ、貴子も手を引かれて後を追う。
「このたびは、御前様ならびに御令室様におかれましては、お健やかにお過ごしのこと、お慶び申し上げます。こなたは西桂侯爵家の長女、貴子でございます。突然の来訪、無礼をお許し下さいませ」
貴子の典雅な物腰と、桜貝のように美しい唇から流れ出る流麗な挨拶に、九重家の皆は驚き、歓待した。
「まあ、なんとお若いのにご立派なお嬢様ですこと…!毬子さま、貴子お嬢様のお爪を少々頂戴して、煎じてお飲み遊ばせ」
毬子付きの侍女頭に諭されて、一家は明るい笑い声に包まれた。
「んもう、いつもそうやって、末っ子のわたしを皆で構うんだもの。いやんなっちゃうわ。…さ、貴子さん、参りましょう?もうね、奥の和室に、お衣裳が衣桁に掛けて並べてあるのよ」
「え?こんなモダンな洋館に、和室があるの?」
「ええ。おじじ様についていろんなお国を回られたおばば様は、やっぱり畳の上でのお暮らしが恋しくていらしたのですって。だから、このお家を建てられた時も、おばば様のお部屋と茶室だけは、畳が敷いてあるのよ。あと、お靴やお草履も、お脱ぎ遊ばしていいの」
お付きの娘達が毎日磨いているのだろう、足袋が映りそうにつやつやと光る廊下の真ん中を、毬子はごく平然と歩いていく。
その後を、貴子はやや遠慮がちについて行く。
「どうなさって?ご遠慮なさらず、お廊下の正面をお歩きになっていいのよ?」
「…だって、客人ですし…こんな綺麗なお廊下、勿体なくて歩けなくって…」
「あら、それは困ってしまうわ。そんなでは、貴子さんがおばば様のお部屋に着く前に、日が暮れてしまってよ?」
冗談めかして、うふふ、と毬子は笑うが、あながちその言葉も嘘とは思えないほど、九重邸は広く、美しく入り組んだ造りになっていた。
「さすがは、応仁の乱で天下に名を馳せた九重家ねえ…。毬子さんがお友達でなければ、私なぞ、一生縁のないお屋敷だったでしょうね」
「でも、今は爵位もない、この邸と同じ、外見だけを取り繕った家だわ。…さ、そんな事より、こちらが亡きおばば様のお部屋よ。義姉さまのお着物を、どうぞご覧じろ!」
さっと毬子が襖を両手で開けると、そこには、目映ゆい花嫁衣装が衣桁に掛けられて、並んでいた。
「……!」
そのあまりの美しさに、貴子は、言葉をしばし失う。
「貴子さん、今日は私の目の前で、この衣裳をどちらも羽織って見せてね?そうして、貴女に似合う方を、まず、決めましょうよ、ね!」
毬子は、にっこりと微笑みながら、後ろに立つ貴子へ振り向いて、言った。
(つづく)
2013年5月19日日曜日
花嫁御寮とおヨメちゃん(2)
「わたし、貴子さんに黒振袖を着て頂きたいわ。ご大典の頃のモダンな吉祥模様が、裾一面に広がっていてよ。紅色、菫色、金糸銀糸の刺繍も混じって…おぐしは、文金高島田。とってもよくお似あいになると思うの…」
あんみつの前で、うっとりと甘い夢を見ている毬子さんに、珍しく貴子さんは異を唱える。
「あら、そんな艶やかなのは、私には似合わなくてよ。毬子さんみたいに、可愛らしい方のほうが良いんじゃなくって?私は、飾り気のない綿帽子に白無垢がいいわ。地味ななりなんですもの」
「そんなあ!ただでさえお背が高くてらっしゃる貴子さんが綿帽子をお付けになったら、ちんちくりんのわたしが、よけい小さく見えてしまいますってば!大丈夫、うちの義姉さまも貴子さまのようにお背がおありになるの。五つ紋の黒振袖、とても似合ってらしたから、貴子さまも大丈夫ですわ」
「…でも、毬子さんには、白無垢はまだ、ちょっと…大人びてやしないかしら…?」
「まあ!おっしゃいますこと。どうせわたしは年相応に見てもらえない、子供顔ですよーだ」
「ほらほら、そうやってふくれる所とか…ね?白無垢では、毬子さんのあどけなさが出ないと思うの。色とりどりの裾模様を流して、長椅子に座って写真をお撮りなさいませよ。私は、その隣に白無垢で立たせて頂きますわ、ね?」
おやおや、ひそひそ声がいつの間にか大きくなって、二人はボーイさんに声を掛けられてしまった。
「ご、ごめんなさいませ…」
「いえ、可愛らしいお話をもっとお聴きしていたいのはやまやまなのですが、何分にも、お二人はお嫁入り前のお嬢様。今少しだけ、お慎みいただければありがたく存じます…」
にこり、と微笑むと(ここのパーラーは、眉目秀麗を採用なさると評判の)ボーイさんは、磨き込まれた銀の盆を小脇に抱え、軽く会釈をして立ち去った。
毬子さんと貴子さんは、檸檬を一滴しぼったお冷やを一口頂いて、ほっと一息つく。
「お話をいくら積み重ねても、埒が明きませんわね…」
「そうね…」
二人は、真顔に戻って、ふふ…と微笑んだ。
痴話喧嘩も、おしまい。
目と目で、合図を送り合う。
「…じゃあ、今度のお休みに、貴子さん、わたしの家においで頂けるかしら?実物を羽織れば、きっとどちらが似合うか、二人とも似合うと思うの」
「え…?!そんな事…お家の方に、どうやってお話なさるの…?」
「一人ずつ、学校の余興で絵姿を撮るから、お着物をちょっと見せて下さらない?って、お義姉さまに頼んでみるわ。同じ学校をご卒業なさってるし、きっと、羽織るくらいはお許し下さると思うの」
「毬子さん、本当に…お写真、二人で撮るおつもりなのねえ…」
感服したように、貴子が言う。
「ええ、断然よ!だってわたし、お嫁入りの時も、こっそり持って行こうと思うの、大切に。人を恋うるってどんな事か、まだよくわからないわたしにとって、貴子さんは、一番近い想いを抱ける方だから…」
大胆な事を口にしながら、だんだん、毬子は声を落とし、代わりに頬を桃色に染めていった。
貴子は、そんな可愛らしい目の前の少女を、今にも抱き寄せたいような心持ちで見つめる。
(つづく)
あんみつの前で、うっとりと甘い夢を見ている毬子さんに、珍しく貴子さんは異を唱える。
「あら、そんな艶やかなのは、私には似合わなくてよ。毬子さんみたいに、可愛らしい方のほうが良いんじゃなくって?私は、飾り気のない綿帽子に白無垢がいいわ。地味ななりなんですもの」
「そんなあ!ただでさえお背が高くてらっしゃる貴子さんが綿帽子をお付けになったら、ちんちくりんのわたしが、よけい小さく見えてしまいますってば!大丈夫、うちの義姉さまも貴子さまのようにお背がおありになるの。五つ紋の黒振袖、とても似合ってらしたから、貴子さまも大丈夫ですわ」
「…でも、毬子さんには、白無垢はまだ、ちょっと…大人びてやしないかしら…?」
「まあ!おっしゃいますこと。どうせわたしは年相応に見てもらえない、子供顔ですよーだ」
「ほらほら、そうやってふくれる所とか…ね?白無垢では、毬子さんのあどけなさが出ないと思うの。色とりどりの裾模様を流して、長椅子に座って写真をお撮りなさいませよ。私は、その隣に白無垢で立たせて頂きますわ、ね?」
おやおや、ひそひそ声がいつの間にか大きくなって、二人はボーイさんに声を掛けられてしまった。
「ご、ごめんなさいませ…」
「いえ、可愛らしいお話をもっとお聴きしていたいのはやまやまなのですが、何分にも、お二人はお嫁入り前のお嬢様。今少しだけ、お慎みいただければありがたく存じます…」
にこり、と微笑むと(ここのパーラーは、眉目秀麗を採用なさると評判の)ボーイさんは、磨き込まれた銀の盆を小脇に抱え、軽く会釈をして立ち去った。
毬子さんと貴子さんは、檸檬を一滴しぼったお冷やを一口頂いて、ほっと一息つく。
「お話をいくら積み重ねても、埒が明きませんわね…」
「そうね…」
二人は、真顔に戻って、ふふ…と微笑んだ。
痴話喧嘩も、おしまい。
目と目で、合図を送り合う。
「…じゃあ、今度のお休みに、貴子さん、わたしの家においで頂けるかしら?実物を羽織れば、きっとどちらが似合うか、二人とも似合うと思うの」
「え…?!そんな事…お家の方に、どうやってお話なさるの…?」
「一人ずつ、学校の余興で絵姿を撮るから、お着物をちょっと見せて下さらない?って、お義姉さまに頼んでみるわ。同じ学校をご卒業なさってるし、きっと、羽織るくらいはお許し下さると思うの」
「毬子さん、本当に…お写真、二人で撮るおつもりなのねえ…」
感服したように、貴子が言う。
「ええ、断然よ!だってわたし、お嫁入りの時も、こっそり持って行こうと思うの、大切に。人を恋うるってどんな事か、まだよくわからないわたしにとって、貴子さんは、一番近い想いを抱ける方だから…」
大胆な事を口にしながら、だんだん、毬子は声を落とし、代わりに頬を桃色に染めていった。
貴子は、そんな可愛らしい目の前の少女を、今にも抱き寄せたいような心持ちで見つめる。
(つづく)
花嫁御寮とおヨメちゃん(1)
女学生も5年となる頃には、将来の話で休み時間はもちきりになる。
「ね、ご存じ?桜組の西坊城さん、ここの坂の上の公爵さまのご令息におかたづき遊ばすんですって」
「あら、だってお二人は、お小さい頃からの許婚者でしょう?至極当然ですわ」
「それより、藤組の噂のあの方…やっぱり、四年でこちらを中退されて、もうお輿入れだそうよ?」
「まあ、お早い。がんぜない頃から、とても睦まじくてらっしゃると伺っていたけれど、そうなの…」
そんな話題に、ついていけない御令嬢が、ふたり、いた。
一人は、九重 毬子(ここのえ まりこ)。
彼女も噂に上る様々な同級生達とおなじく、知らぬ頃から一族の決めた結婚相手がいる。
「悪い方では、ないのだけれど…」
そうひとりごちて、ふう、と可愛らしいため息をつく。
「好き」という感情が、どうしても、わかないのだ。
結婚を断るつもりなどないのだが、こんな気持ちのままでは、相手の殿方に失礼な気がして。
もう一人は、西桂 貴子(にしかつら たかこ)。
同級生より頭一つ背が高くスマートな彼女には、お熱をあげている下級生も数多い。
貴子は、別に彼女たちとエスごっこの相手役を務めるわけでもなく、いつも一人で窓の外に広がる緑を眺めやっている。無論、彼女にも将来の旦那様は決められている。
二人は、他の誰にも言えない秘密を抱えていた。
いつの間にか、お互いにエスを越えた、ほぼ男女が慕い合うのに似た感情を抱いている、という事を。
だから、他の同級生のように、無邪気にうわさ話の輪に入れなかったのだ。
「ねえ、貴子さん。…どうして、女同士は、結婚しちゃいけないのかしらね…?」
小柄で無邪気な毬子が、黒目がちな大きい瞳をパチクリさせながら、休日のパーラーで小首を傾げる。
そんな事を、いともさらりとあどけなく言ってしまう毬子が、貴子には可愛くてたまらない。
「はるか昔、レスボス島という島があったと聞くわ。…そこでは、女同士でも思うままに恋愛ができたらしいけれど…今更、そんなこと言ってもね…」
ふふっ、と少し寂しく笑いながら、ソーダ水のストローを唇にくわえる貴子は、毬子をぞくぞくっ、とさせる。
(これが、好き…っていう感情なのだわ、きっと)
と、思ってしまう。
「私たち、いずれは親の決めた方のもとへ、嫁いでゆくのよね…」
「ええ…」
二人の悩みなどどこ吹く風と、百貨店のアドバルーンはふわふわ揺れて、飛んでいきたくとも足場を押さえられたまま、空に浮かんでいる。
「…せめて、私たちが嫁ぐ前、睦まじかったよすがでも残しておきたいわ。そう、例えば…」
「写真とか?」
貴子の助け船に、毬子はパチン、と手を叩いた。
「それは、素敵!ねえ、貴子さん。私と貴女の二人だけで、お内緒の卒業写真を撮りましょうよ!」
「…お内緒?」
「ええ。あのね、あの…二人とも、花嫁衣装を着て、そうして写真屋さんに撮っていただくのって、どうかしら?」
「?!」
あまりに突飛な毬子の申し出に、貴子はソーダ水をむせそうになった。
「お着物なら、私の義姉さまがお嫁入りの時にお持ちになった、白無垢と黒振袖があってよ。西洋式のドレスはないから、どこかから調達しなくてはならないけど…。ね、貴子さん、あなた、お着物はお嫌い?」
「ちょ、ちょっとお待ちになって頂戴、毬子さん…。そう、何もかもここでいちどきに決めてしまわなくとも、二人して、もう少し考えてみないこと?」
熱情的な毬子の思いつきを、少し冷まそうと、貴子は声を潜めた。
「…でも…、あまり卒業が近くなると、仲良しグループさん達の記念写真で、写真館はどこも大入りになってしまってよ?もしそんな時、知り合いと行き会ってしまったら、大変だと思うの」
「…うーん…、じゃあ、じゃあね?お互いに、どちらのお衣裳を着たらよいか、そこから考えましょうよ、とりあえず…」
何だか、初めは驚いてばかりの貴子も、毬子に気圧されて、だんだんその気になり始めたようである。
(つづく)
「ね、ご存じ?桜組の西坊城さん、ここの坂の上の公爵さまのご令息におかたづき遊ばすんですって」
「あら、だってお二人は、お小さい頃からの許婚者でしょう?至極当然ですわ」
「それより、藤組の噂のあの方…やっぱり、四年でこちらを中退されて、もうお輿入れだそうよ?」
「まあ、お早い。がんぜない頃から、とても睦まじくてらっしゃると伺っていたけれど、そうなの…」
そんな話題に、ついていけない御令嬢が、ふたり、いた。
一人は、九重 毬子(ここのえ まりこ)。
彼女も噂に上る様々な同級生達とおなじく、知らぬ頃から一族の決めた結婚相手がいる。
「悪い方では、ないのだけれど…」
そうひとりごちて、ふう、と可愛らしいため息をつく。
「好き」という感情が、どうしても、わかないのだ。
結婚を断るつもりなどないのだが、こんな気持ちのままでは、相手の殿方に失礼な気がして。
もう一人は、西桂 貴子(にしかつら たかこ)。
同級生より頭一つ背が高くスマートな彼女には、お熱をあげている下級生も数多い。
貴子は、別に彼女たちとエスごっこの相手役を務めるわけでもなく、いつも一人で窓の外に広がる緑を眺めやっている。無論、彼女にも将来の旦那様は決められている。
二人は、他の誰にも言えない秘密を抱えていた。
いつの間にか、お互いにエスを越えた、ほぼ男女が慕い合うのに似た感情を抱いている、という事を。
だから、他の同級生のように、無邪気にうわさ話の輪に入れなかったのだ。
「ねえ、貴子さん。…どうして、女同士は、結婚しちゃいけないのかしらね…?」
小柄で無邪気な毬子が、黒目がちな大きい瞳をパチクリさせながら、休日のパーラーで小首を傾げる。
そんな事を、いともさらりとあどけなく言ってしまう毬子が、貴子には可愛くてたまらない。
「はるか昔、レスボス島という島があったと聞くわ。…そこでは、女同士でも思うままに恋愛ができたらしいけれど…今更、そんなこと言ってもね…」
ふふっ、と少し寂しく笑いながら、ソーダ水のストローを唇にくわえる貴子は、毬子をぞくぞくっ、とさせる。
(これが、好き…っていう感情なのだわ、きっと)
と、思ってしまう。
「私たち、いずれは親の決めた方のもとへ、嫁いでゆくのよね…」
「ええ…」
二人の悩みなどどこ吹く風と、百貨店のアドバルーンはふわふわ揺れて、飛んでいきたくとも足場を押さえられたまま、空に浮かんでいる。
「…せめて、私たちが嫁ぐ前、睦まじかったよすがでも残しておきたいわ。そう、例えば…」
「写真とか?」
貴子の助け船に、毬子はパチン、と手を叩いた。
「それは、素敵!ねえ、貴子さん。私と貴女の二人だけで、お内緒の卒業写真を撮りましょうよ!」
「…お内緒?」
「ええ。あのね、あの…二人とも、花嫁衣装を着て、そうして写真屋さんに撮っていただくのって、どうかしら?」
「?!」
あまりに突飛な毬子の申し出に、貴子はソーダ水をむせそうになった。
「お着物なら、私の義姉さまがお嫁入りの時にお持ちになった、白無垢と黒振袖があってよ。西洋式のドレスはないから、どこかから調達しなくてはならないけど…。ね、貴子さん、あなた、お着物はお嫌い?」
「ちょ、ちょっとお待ちになって頂戴、毬子さん…。そう、何もかもここでいちどきに決めてしまわなくとも、二人して、もう少し考えてみないこと?」
熱情的な毬子の思いつきを、少し冷まそうと、貴子は声を潜めた。
「…でも…、あまり卒業が近くなると、仲良しグループさん達の記念写真で、写真館はどこも大入りになってしまってよ?もしそんな時、知り合いと行き会ってしまったら、大変だと思うの」
「…うーん…、じゃあ、じゃあね?お互いに、どちらのお衣裳を着たらよいか、そこから考えましょうよ、とりあえず…」
何だか、初めは驚いてばかりの貴子も、毬子に気圧されて、だんだんその気になり始めたようである。
(つづく)
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