2013年3月23日土曜日

つぶやきその2

やっぱ、やっちゃうと百合じゃないんですかね。
寸止めというか…そこはかとなく匂わせるというか…

視線をそらして、手をつなぐとか。
さりげなーい、清潔感の残るボディタッチ?

むむう。
百合の神髄って、難しい…。

てなわけで、計画していた二度目の濡れ場は撤回しようかどうか、ちょっと保留中。

2013年3月21日木曜日

つぶやき…

伸び悩んでんな…くーっ。

どーしたら、人様に読んでいただける話が書けるんだろう??

2013年3月20日水曜日

女子会ふたり。(7)

予想外の、同窓会になってしまった。
いや、もう今は榎本さんと森さんの二人だけだから、女子会というべきか。

8年も男性と交渉してないという未亡人と、素人さんの女性とは行為に及んでいない、偽装結婚中の同性愛者。

その二人が15年ぶりの夜に出会って、ホテルの部屋を取るというのだから、目的は何をか言わんや。

幸い、この瀟洒なホテルにはかろうじて空室が残っており、そこを押さえることができた。

「で、あのう…お客様、大変申し訳ないのですが、シングルのお部屋でしたら複数ご用意出来ますが、あとは、ダブルルームが一室、残っているのみでして…いかが、いたしましょう?」

「ダブルで、お願いします。今夜は久しぶりの同窓会で、ゆっくり旧交を温めたいので」

榎本さんは、さらりと言ってのける。
別に、これっぽっちも嘘はついていないのだから。

森さんは、終始うつむき加減で、握ったままのハンカチを、弄んでいた。

「…勝手に、ルームチャージして、…怒った?」
時計の針が動いているように階数を知らせる、クラシックなエレベーターの中で、榎本さんは小声で問う。

「…ばか」
森さんは、ジャケットの裾の代わりに、榎本さんの手の甲を、軽く、つねった。

(8年も、相手なしで我慢してたんだもんな…。今夜は、その分、可愛い姿を見せてもらおう)

榎本さんは、頭の中でシミュレーションする。

まだ、森さんがこれだけ色気と可愛い気を残しているということは、一人で、してるのだろう。
たぶん。

(なら、一人で満足できてない事を、今夜、あたしがしてあげればいいわけだ…)

だいたい、想像はつく。

なぜなら、榎本さん自身も、そうしょっちゅうプロのお姐さん方と遊ぶ資金はなく、一人で事に及ぶ場合は多々、あるから。

そこまで考えた時、オルゴールのような音がチン…と一音聞こえて、目の前のドアが開いた。

互いにシャワーを使ってガウン姿になった後、森さんは、また思い詰めたような顔をして、広いシーツの上に腰掛けた。

「あのね、あの…榎本さん。先に、言っておいた方がいい、と思うから、言うんだけれど…。私、主人が亡くなるまでは、夜のことはね、いつも、私から言い出していたの…。彼が仕事で疲れていない限り、毎晩でも、したくなってしまって…お休みの日は、一日中カーテンを閉めて、ベッドから出られなくなる時も、しょっちゅう、あったの…。そんな、私だけど、いいの…?」

榎本さんは、恥ずかしそうに打ち明ける森さんの顔を覗き込んで、返事をした。

「森さん? そーいうのを『火に油を注ぐ』って言うの、わかる?…まったく、8年もそんな可愛いまんまでいりゃ、他の男が放っておくわけないじゃん。…それより、指輪、お互いに外そう、今だけは。それから後は、あたしが、あなたの8年間をこのベッドの中で埋めてあげる、から」

森さんは、顔を上げて、こくん、とうなずく。
頬を桃のように染めながら。

結婚式の時、二人は、お互い顔も知らない男と、指輪をはめ合い、永遠を誓った。

今夜、榎本さんと森さんは、互いの指輪を外し合い、誰にも届かない闇の中へ飛び込んでいく。
いや、果たして飛び込んでいく先は、闇なのか、それとも快楽の渦なのか?

一人では、絶対経験できないこと…それは、舌を使われて極みに達してしまう事だろう、榎本さんは、そう踏んだ。

そして、作戦通りに事を運んでゆく。

果たして、森さんは恥ずかしく泣きじゃくりながら、榎本さんに全てをゆだねて、悦びを堪能した。

「いい、いいわ…ああ、お願い、榎本さん…もっと、もっとよ…ね、すごい…っ!」

その可愛くてたまらない乱れように、榎本さんも、同じように濡れた。
中学時代から忘れられなかった相手が、今、自分の前にこんな姿を晒しているのだもの。

同性を愛さない森さんに、同じ行為を求めるつもりもない。

それでも、攻めて、見ているだけで、榎本さんも一緒に昇り詰める予感がしてきた。

(やっば…あたしって、そんなプラトニックな部分、まだ残ってたの?)

でも、それは、現実になった。

二人分の声がクラシックな部屋に響いた後、しばらく二人は、毛布にくるまってうつうつと夢の残り香を楽しんだ。

男の人にはきっとわからない、女だけが行為の後に味わえる、至福の甘いひととき。

「ね…森さん?」
さっきまでとはうって変わった、小さな声で、榎本さんは訪ねる。

(つづく ↓ おまけ)

すいません…「★18禁」を前提にしてないで書き始めたので、濡れ場は最小限の表現で…。
その代わり、このお話に年齢の縛りはございません。お好きならばご自由に。

予定は…うーん、もう一回きわどい場面を入れて(希望)…あと2回くらい、かな…このお話。

2013年3月17日日曜日

女子会ふたり。(6)

「…森さんさ、その指輪、はずしちゃえば?」

考えるより先に、榎本さんは口にしていた。

「その指輪、思い出なんかじゃないでしょ?今。自分の、枷(かせ)になってるだけでしょ?…やめた方がいいよ、そんなの」

「…そんな、15年も会わなかったあなたに、何が…何が、分かるの?!」
森さんは、真っ直ぐ榎本さんの眼を見て言う。

「だって、あなた…泣いてるじゃん。その指輪で…」
榎本さんも、森さんを真っ直ぐに見据える。

「本当に、だんな様との思い出が幸せな物として残ってるなら、指輪のあるなしは関係ないと、あたしは思うな。他の男に言い寄られたって、指輪なしで突っぱねればいいんだもん」

森さんは、ずっと榎本さんを見つめている。
でも、さっきほどの怒りに満ちた光は、もう、ない。

「…別に、森を名乗ることをやめろとは、言わない。それは、あなたの自由。でもさ…もう少し、自分を楽にしてあげたらいいんじゃない?だんな様はさ、あなたのせいで死んだわけじゃないんだよ?」

話しながら、本当はもう一つの理由があるのだけど、言い出せない、榎本さんがいた。
その二つめの理由を言ったら、もう、森さんとはこれきり、会えなくなるだろうと思ったからだ。

(…あたし、あなたが他の誰かからもらった指輪をしてる姿、見たくない…)

分別のついた大人なら、いや、本当はそうじゃなくても、年齢的にそうくくられる世代なら、…本音を吐いちゃいけない時がある事くらい、わきまえなきゃ。

榎本さんは、心の中の葛藤を鎮めようと、深呼吸をひとつ、した。

「そこまで言うなら…責任を、取って?」
思い詰めたように、森さんは言う。

「責任…?」

榎本さんには、森さんの言葉の意味が図りかねた。

「…この指輪にはね、いろいろな私の想いが、封印してあるのよ…。今まであなたに話したこと以外にも、幾つも。…こんな場所で言うの、はしたないかもしれないけれど…私、22で一人になってから、誰ともおつきあいしてないのよ…つまり、誰とも、してないの。…結婚してるあなたに、この意味、わかる…?」

「…わかるわ、多分。…だってウチ、偽装結婚だもん」

お互いの言葉は、15年分の再会では追いつけないほど、深いところへ入り込んでいった。
でも、もう止められない。

「実家がさ、結婚しろしろってうるさくて。その事、相方(あいかた)に話したんだ。…大学の時からの友人で、一緒に酒飲んでくだまいたりしてた奴。回りはあたしと相方がすっかりデキてると思ってたみたいだけど、当人同士は初対面の時から、なんとなく、わかってたんだ。『あ、こいつ、自分と同志だ。同じ性別の人間しか、愛せない…』のが、さ」

「不妊症で、子供が授からない夫婦もたくさん世の中にはいるんだから、一生茶飲みじーさんとばーさんでも、いいじゃん?って、二人で話をして、籍を入れた。そりゃもう、親たちは大喜びよ。だましちゃって悪いな、って思いもチラッとあたしたちの頭をかすめたけど、まあ相方とは気が合うし、いいかな…って。でも、結婚前に二人で約束したよ。『一生、できないけど、それだけは覚悟してね』って」

森さんは、ハンカチを握りしめて、黙っている。

「気分、悪くさせたら、ごめん。そうだったら、あたし、出るから…」

榎本さんは、卓上に置かれた革のレシート挟みを手にして、立ち上がった。

森さんが、黙ってチャコールグレイのジャケットをつかむ。

驚いて振り向く榎本さんに、森さんは、視線を外しながら、訊ねた。

「私…そういう話、聞いたことあるし、偏見がない方だと思ってるわ。例えば、同性が好きだからって誰でもいいわけじゃなくて、それぞれの人に好みがあるって事も、知ってるつもりよ。…軽蔑してもいいわ、榎本さん、教えて。…私は、あなたにとって、…タイプ、なの…?」

急展開。
目の前が、くらくらする。

「森さん…、あなたはね、あたしにとって、剛速球のストレート、どストライクって奴よ。15年前も、そして、今この瞬間もね」
視線を合わせられないまま、真っ赤な顔で、榎本さんは答えた。

「…じゃあ、…ここの、お部屋、取りましょう?」
森さんの声も、少し、震えている。

(つづく)

2013年3月16日土曜日

女子会ふたり。(5)

戦前の洋館を綺麗に保存して使っている、小さなホテル。
そのロビーで、榎本さんと森さんは、お茶を飲むことにした。

「わたし、アールグレイで」
榎本さんが先にオーダーをすると、
「じゃあ、私はクイーンメリーをお願いします」
と、森さんも続けた。

ふう…と、二人は柔らかな椅子にほぼ同時に身体を預け、向かい合ってくすくすと笑う。

「脚が、疲れちゃった。いつもヒールなんか履かないから」

「でも榎本さん、今日のパンツスーツ、よく似合ってるわ。チャコールグレイにペンシルストライプの生地、中はスタンドカラーの紺のブラウス。15の頃の、あなたのイメージが残ってる…」

「男みたいな、はねっかえりだっただけ。今も仕事先じゃ、男の子の後輩と一緒に外回り多いし」

「そう…教育係、ってわけね?…ますます、あなたらしいわ…」
森さんは、一瞬なぜか哀しい眼をして、また微笑む。

榎本さんは、運ばれてきたポットから、エキゾチックな香りの紅茶を注ぎつつ、気になって仕方のなかったことを切り出した。

「ねえ、やっぱり、すっごく気になる。森さんの、差し障りのない範囲でいいから、あなたのその指輪の話…聞きたい」

天井では、吊された大きな扇風機がゆったりと空気をかき回し、羽根の間に取り付けられた灯からは、ぼんやりと飴色の光が辺りを照らす。

森さんは、自分も甘い香りの紅茶を一杯注ぎ、純白の磁器でできたカップを、両手で包み込むように持った。

左手の薬指には…そう、気になって仕方がない、指輪が見える。

「あのね…気分、悪くしないでね…? この指輪、もう、私にとっては、だんだん意味が薄れてきてるの。それを戒めるための、おまじない…かな」

「……?」
謎めいた森さんの話しぶりに、ますます榎本さんは、訳がわからなくなる。

「…私、高校を出て、何年かお仕事してるうち、おつきあいを申し込んでくれた人がいてね…、22歳の頃だったかな、結婚したの」

「えっ、森さん、結婚早っ!」

「お勤めも、それを期にやめてね。内輪でお式を挙げて、小さなお部屋を借りて…今考えると、まるで、ままごと遊びをしてるみたいだったわ。楽しかった…彼が、亡くなるまでは」

「ええっ?!」
榎本さんは、ガチャンと音がするのも構わず、カップをソーサーに置く。

「初めての海外出張でね、先輩に連れてってもらうの、とても嬉しがっていたわ。私も、空港まで見送りに行ったの。彼はすごく照れて、来なくていい、って言ってたんだけど…虫の知らせだったのかしらね、私、どうしてもその時、空港に行きたくて、内緒で行ったのよ」

森さんは、淡々と、でも紅茶にはもう手をつけずに、話を続ける。

「その時は、私も彼も、考えてすらいなかったわ。…治安が良かったはずの出張先で、突然クーデターが起きて、会社の先輩と彼は…現地の事務所で、射殺されたの…」

榎本さんは、もう声も出ない。

「彼のご両親と、成田へ帰ってきた彼に、会いに行ったわ。シートに包まれて、飛行機の座席じゃない場所から四角い箱が出てきたのを見た瞬間、…黙祷をすることもできずに、私、気絶してたの」

「…気づいたら、実家の近くの病院のベッドの上だった。数日間、意識が戻らなかったって…。個室の中を見たら、刃物や紐のたぐいが、全部片付けられてたわ。…自殺でも、すると思ったのかしらね…」

ふ…、と、森さんは、遠い目をして苦笑いした。

「それから…しばらくして、彼のご両親が見えて、籍を抜いてもいい、って言ってくださったの。でも、私は、彼との思い出を消してしまいたくはなかった。だから、言ったわ。『私は、森に嫁いだ身です。おとうさんと、おかあさんがもし許していただけるなら、お二人の娘のままでいたいんです』って」

「そんなわけで…22歳の未亡人になったのだけれど、それも、運命だったのかな…。それでもね、私の心って残酷なもので、少しずつ、少しずつ、彼との楽しかった思い出が、薄れていくの」

「ごくたまに、物珍しさで声をかけてくる男性もいたけど、もちろん、彼との思い出とは比べものにならなくて、断ってばかりだったわ。…でも、思い出が遠くなっていく自分が悔しくて、他の男の人に声なんかかけられたくなくて、私、この指輪、ずうっと、はずせないでいるのよ。この指輪は、私と彼をつないでくれる、おまじない、なの…」

一息に話した後、森さんの瞳から、つうっとひとすじ、涙が流れて、落ちた。

(つづく)

2013年3月15日金曜日

女子会ふたり。(4)

恩師をお見送りし、とりあえず…で、一次会はお開きになった。

水商売のお店をきりもりしている同級生の所へ行って、飲み直そう、という話になるグループ。

また、いわゆるお定まりの「同窓会で焼けぼっくいに火がつく」輩もぼちぼちいたり。

三々五々、会場の外へ出てから皆は散り始めていった。

「ねえ、知華子。久しぶりだしさ、カラオケでも行かない?」
気づいたら、むかし近所に住んでいた子が、すぐそばに立っていて、誘ってきた。

「えっ、あ…うーん、やっぱ、やめとく」
「何で? 誰かと先約でもあるのー?」
「ん、まあ、ね。森さんと話してるうちに、一次会お開きになっちゃったから、そういうことで…」

本当は、もっと森さんと話をしたい。

知らなかった、お互いの15年の間の、とりとめのない事。
指輪の話を振ったときの、ちょっと意味深長な態度をとった理由。

少し離れた駐車場では、森さんの声が聞こえてきた。

「ごめんね、さっき、榎本さんとお話していて、まだ途中なの。だから…」
「あら、じゃあ一緒にこっちのファミレス、誘えばいいのに」
「それは、また、今度にでもね。それじゃ…」

なお、しつこそうにしている元クラスメイト(よく知らん女だが)から森さんを引き離しに、榎本さんは小走りにやってきて、ついっと森さんの手を取った。

「と、いうわけなので、お先に失礼。もうお店も、押さえてあるから。さ、森さん?」
「あ、ありがとう、榎本さん」

手をつないだまま、二人分のヒールの音が、夜の石畳に響いていく。

「びっくりした…。森さんが、私と同じ事、友達に言ってたから」
「私もよ…」

「何となくね、もっと、森さんと二人で話、したかったの。…ううん、何となくって言ったら、嘘になるかな。今日の同窓会、中学で三年間同じクラスだった森さんと会えるかなって思って、来たから…」

暗闇のせいだろうか。
15年という月日が自分を大人にしたせいだろうか。
素直に、榎本さんは同窓会へ出席したわけを話していた。

「それにね」
「え?」
森さんが聞き返す。

「さっきの指輪の話、ちょっとイミシンな雰囲気だったわけ。このまま何も聞かないで、帰る気になんかならないって!」

「ふふ…嬉しいわ、そう思ってくれて…」
「え?」
今度は、榎本さんの方が聞き返すはめになる。

「…あのね、私も、今日は榎本さんと久しぶりに会って、ゆっくり話を聞いて欲しくて、指輪の事、さっき、わざとあんな言い方したの。嘘じゃないんだけど…ごめんなさい?」

「ふーん、じゃ、お互い、久しぶりに会えて、良かったって事だよね」
内心のときめきを隠すようにして、榎本さんは言う。

「そうね…」
森さんは、ちょっと視線を落として、はにかむ。

なぜか、二人はつないだままの手を、離せずに歩いていた。

本当は、特にお店の予約なんてしていないのに。

…ただ、しばらく、お互いこうして歩いていたかったから。

(つづく)

2013年3月14日木曜日

女子会ふたり。(3)

すると。

「あら…、倉上(くらがみ)さん?倉上 知華子さんでしょう…?」

声を先にかけてきたのは、彩名のほう。
後ろ姿の久美子の肩越しに、首をかすかに傾け、知華子に向かって微笑みかけた。

何と返したらいいのか、知華子はとっさに思いつかず、ただ、微笑んでうなずく。
久美子と短く別れの言葉を交わした彩名のほうから、ちょこちょこっと駆け寄ってきてくれた。

「懐かしいわ、知華子さん。変わっていないのね…今もスタイル、良くって。髪の毛も真っ直ぐで、中学の時と同じ。綺麗で、私、ずっとうらやましかったのよ…」

15年ぶりのお世辞だと言うことを差し引いても、彩名にそう言われるのは、とても嬉しい。

「彩名さんも、結婚してるのね…私と、同じ」
うつむきがちに、知華子は彩名の左薬指を見つめて言った。

「…ええと…、この指輪の事ね…?ちょっと、話すと長くなるから…ここでは、内緒」

「え?」

知華子には、彩名の返事の意味が分からなかった。
自分と同じように、結婚して、子供がいるかいないかの立ち位置にいると思いこんでいたから。

「知華子さんのリング、素敵じゃない?ダイヤが入ってる結婚指輪なんて、かなりの旦那様とご一緒なのね?」

「とんでもない、こーんな小さいの…埋まってて、あるかないか、分からない程度だもの。彩名さんこそ、プラチナでしょ?それ」

話しているうち、二人は、同じ頃にはっと気がついた。

「いやだ、私たちって、お互い旧姓で呼び合ってる…つい、懐かしくって。彩名さんは、今、何て名字になったの?」

「森(もり)、よ。森 彩名…」

「わあ、何だかロマンチックな感じ」

「そんなことないわ、全然。知華子さんは、何て?」

「私? 榎本(えのもと)知華子っていうの」

「榎本さん…お名前に、良く合ってる。あなたの名字の方が、素敵よ」

「名字が変わった、ってだけ。中身は相変わらず、15の反抗期のまんまだもの」

「あら、それは私も同じよ。特にこういう同窓会に来て、案外みんな変わってないのね、って感じたら、面白くなっちゃったわ」

ふふ…と、二人は同感の笑みを交わす。

「はーい、そろそろお開きですんでー、記念写真撮りまーす。先生方を囲んで撮りますからぁ、こっち、集まってくださーい」

昔から修学旅行の時に仕切り役だった数人の男子が声をはり上げ、それに応えるように、宴会場に散らばった円形テーブルのあちらこちらから、ゆるゆると懐かしい顔が寄り添い、集団に変わっていった。

(つづく)